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2022.11.05

海外遠征、徳島木頭支部オープン……K1王者・小比類巻貴之が描く格闘技の未来図とは

エグゼクティブ向けのキックボクシング大会「EXECUTIVE FIGHT 武士道」を主催する元格闘家の小比類巻貴之。「格闘技のイメージを変えたい」と活動する小比類巻のセカンドキャリアに迫る。1回目2回目

小比類巻貴之

プロデューサーの意識が大会の明暗を分ける!

経営者、弁護士、ドクターなどエグゼクティブのリアルファイトの大会「EXECUTIVE FIGHT」を主催する小比類巻貴之。今後はどのような展開を考えているのだろうか――。

「まずはEXECUTIVE FIGHTのさらなる充実です。自分の思いをもっともっと込めていきたい。僕自身、現役時代にさまざまな大会に出場してきました。その体験ではっきりわかったことがあります。その1つは、プロデューサーの選手へのリスペクトがいい大会をつくる、ということです」

正道会館の創始者でK-1を創設した石井和義・正道会館館長には、常に選手へのリスペクトを感じたという。

「僕がキックボクシングを始めたきっかけは、学生時代にラモン・デッカーの試合を見たことでした。デッカー選手はオランダの格闘家で“地獄の風車”と言われたレジェンドです。後楽園ホールの2階席。チケット代は3000円でした。デッカーは圧倒的でした。海外の強豪を3発で倒したんです。最初のパンチがボーン! と、キックはバキン! と2階席まで響きました。この選手と闘えたら、自分で自分を誇ることができる。確信しました」

翌日、小比類巻はキックボクシングのジムの門を叩いた。

「自宅の部屋の壁いっぱいにラモン・デッカーの写真を貼って、トレーニングを重ね、いつかデッカーと闘いたい、と周囲にはいつも伝えていました」

1999年、傷跡や打たれた痣をかくすために日焼けサロンで身体を焼いている小比類巻に1本の電話が入った。

「K-1 RISING 2000の相手がラモン・デッカーに決まりました」

バンと起き上がった。日サロで横たわっている場合ではない。

「テンションが上がりました。目標としてきた選手と闘える喜び。石井館長がずっと僕の思いを忘れずにいてくれたことへの感謝。それらが一気にわき上がってきました。勝たなくてはいけないと胸に誓った」

小比類巻は日本人選手では初めてラモン・デッカーを倒した。TKO勝ちだった。

「石井館長の僕への思いは明らかに力になりました。EXECUTIVE FIGHTも、僕が選手を誇りに感じていることが、闘うモチベーションにつながると信じています。だから、選手のバックグラウンドや思いを反映させて、大会をもっと濃いものにしていきたい」

EXECUTIVE FIGHTを海外へ展開していくプランもある。

「まずはスイスです。ルツェルン(Luzern)という街に、小比類巻道場と兄弟関係のジムがあります。富裕層の会員が多く、EXECUTIVE FIGHTに参加したいと言われています。小比類巻道場にもスイスで試合をしたいという会員がいるので、招聘と海外遠征の相談で10月にルツェルンを訪れる予定です。その後は、スペインです。日本でもよく闘っていたキシェンコ(アルトゥール・キシェンコ)がジムを2つ経営しているので、協力し合おうと話しています。同様に韓国のジムとも協力体制の準備をしています。海外遠征や、外国人選手と闘いが実現すれば、小比類巻道場のエグゼクティブたちのモチベーションも上がるでしょう」

地方創生とキックボクシング

さらに、徳島に小比類巻道場の支部を建設している。

「道場に通う経営者の1人に徳島出身のかたがいます。ある日その人が徳島に住む82歳のお母様を連れきたんですよ。コロナで外出ができず運動不足で、食欲もないとおっしゃるので、軽くキックボクシングのレッスンをやらせてもらいました。ミットを叩いたり、蹴ったり、です。すると見る見る元気になって、食欲も出てきた。お母様はキックボクシングに夢中になって、徳島に戻って、地元で仲間を集めて、キックボクシングのサークルをつくりました。

木頭村というところで、人口がわずか1000人。お年寄りばかりの村の人たちが、みんな元気になってしまいました。そこに小比類巻道場徳島木頭支部を建てています。1階は冷暖房完備の、村の人たちのコミュニティースペース。2階がトレーニングスペースです。2020年に木頭村には“世界一美しいコンビニ”と銘打って未来コンビニができました。権威ある建築アワードを11も受賞して、世界中から人がやってきています。村の復興への“土壌”は開拓されつつあります。さらに小比類巻道場をつくって、若い人たちの都心部への流出を抑えたい。人口減少、過疎化対策、少子化対策の新モデルにしたい」

このように、小比類巻はキックボクシングを社会活動につなげていくヴィジョンを描いている。

「引退して世界中を旅しました。アメリカ、イギリス、ベルギー、オランダ、中国……。訪れた多くの国で格闘技は神聖なものとされていました。一方、日本は熱狂的なファンには恵まれているものの、まだちょっと野蛮なスポーツとして見られているところがあります。大会スポンサーの確保も難しい状況です。そのイメージを僕は変えていきたい。実際、格闘技にはまじめな選手が多いんですよ。考えてみてください。苦しく地道で孤独なトレーニングをコツコツ積み重ねなければ、強くなれません。それをもっと理解してほしい。だから、今後も積極的に社会活動に携わっていきます」

小比類巻道場徳島木頭支部は2023年2月にオープンする予定。東京だけではなく、四国からもキックボクシングを広げていく。

小比類巻貴之

Takayuki Kohiruimaki
1977年青森県生まれ。小比類巻道場会長。K-1 WORLD MAXにて日本代表決定トーナメントを3度優勝。2020年、東京・八芳園にてアマチュア格闘技イベント「EXECUTIVE FIGHT 武士道」を開催。2022年12月9日に、「EXECUTIVE FIGHT BUSHIDO〜皇〜Ou〜2022」を開催予定。

TEXT=神舘和典

PHOTOGRAPH=筒井義昭

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