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2022.09.02

【西野亮廣】自社の「世界観」に設備投資しろ

毎度お騒がせしております。キングコング西野です。(こちらは、オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』に投稿した記事を加筆修正したものです)

【連載「革命のファンファーレ2~現代の労働と報酬」】

今日は「世界観に設備投資しろ」というテーマでお話ししたいと思います。
どう考えたって重要なので、前回の記事を、さらに深堀りしたいと思います。

第58回 「企業の世界観」とは、「企業の競争力」そのもの

西野亮廣

世界観がない企業は厳しい

尾原和啓さんと、けんすうサンと、幻冬舎の箕輪さんと、僕の4人が、ただただ雑談するだけのLINEグループがあるのですが、前回の記事は、そのLINEグループでも取り上げられました。
始まりは、前回の「エンタメを持ってない企業って、ちょっと危ないですよね」という記事に対しての、けんすうサンのコメント。

コチラ↓
「いや、まさに自社エンタメ、自社の世界観、みたいなのがないTo C企業は結構辛いんじゃないかな・・・と思っています。むしろ、それがある企業がすごい強いというか。
もっというと、『世界観を創れる』というアセットがないと、勝負できないシーンが増えてきている気がするんです。便利とか、使いやすい、みたいな勝負って日本はもうあまりできないんですよね。工業においてはもう新興国には勝てないフェーズですし、だからといってサービスにおいては、シリコンバレー、中国の規模感、マーケ力には勝てない。
となると、非言語でも通じるところになるんですが、非言語といっても、『映画のセリフ』とかはなんとでもなるんです。非言語の重要な部分って、まさに世界観だと思っていて・・・。
VTuber企業とかがグローバルで突破するスタートアップになっているのはこういう構造だからだと思っています」

本当におっしゃる通りで、「便利」や「使いやすい」をゴリ押しする勝負はもうできなくなっています。
海外に行っても、最近は「車」以外で、日本製品を見かける機会がとんと減りました。
かつて、日本がいた場所には、韓国や中国がいます(by 肌感)。
要因は色々言われていますが、ここでは「なんだかんだ言って、『便利』や『使いやすい』を追求している日本が負けてるよね」という“結果”だけで議論するのがフェアなのかなぁと思っています。

「規模感」や「マーケ力」では、ボロ負けもいいところなのは言うまでもありません。
なので「世界観(エンタメ)」というのが最後の砦なのかなぁと思うのですが、これに対して、幻冬舎の箕輪さんが…
「たしかに! わかる! でも、これって、一般の人に出来るのかな? 一般の人が世界観を作り始めるとマジで寒くなる時がある…」
とコメント。
この箕輪さんのコメントにも、共感しかありません。
ちなみに、箕輪さんのコメントに関しては、サロンに掲載した記事に投稿されたけんすうサンのコメントと違って、僕らのLINEグループに投稿されたコメントなので、現在、西野が箕輪さんのLINEを無許可で晒している状態になります。
#死なばもろとも

ここまでの話を整理すると、以下の通り↓
① 世界観(エンタメ)を持たない企業はツライよね。
② でも、素人が作る世界観って、地獄だよね。
もう少し細かく分けると…
① そもそも「世界観(エンタメ)」の重要性に気づいていない企業が存在する。
→A「気づいていない企業=終わる」
② 世界観(エンタメ)の重要性に気づいた経営者が動く。
→B「自分で世界観を生み出す=終わる」
→C「世界観の創造をプロに依頼する=ワンチャンある」
という感じで、なんとなく「A」「B」「C」の3パターンに分けられるのかなぁと思います。
そして、意外と「B」が多い。
これが、箕輪さんが突っ込んでいる部分です。

会社経営のノリで、経営者が「世界観の創造」にまで着手してしまう。
これは本当に地獄の沙汰で、クリエイティブの知識も才能も何もない経営者が生み出す世界観は、金食い虫たる「ゆるキャラ」か、キズナアイのパチモンたる「おっぱいの大きい萌えキャラ」(※ときどき「天使」みたいな設定で背中に翼が生えている)がいいところ。
#ウンコ
それを自社の「世界観」として打ち出し、
売れるハズもないのにグッズ化し、
社員のヤル気を根こそぎ奪っている経営者をよく見かけます。
自分の力量を測れない世間知らずのアホか、「俺もクリエイティブなことをやりたい」という感じで、「経営」と「感情」を切り分けることができないアホのどちらかです。

CHIMNEYTOWN USAのスタッフが今、ラスベガスにいるので、ラスベガス的な話をすると、言うまでもなくラスベガスのホテルは「世界観(エンタメ)」がガッツリと付いています。
じゃあ、ホテルオーナーが「世界観(エンタメ)」を創造しているかというと、そうではありません。
ラスベガスのホテルオーナーがやっているのは、あくまで「経営」です。
世界観(エンタメ)は「シルク・ド・ソレイユ」や「デビット・カッパーフィールド」に任せています。
要するに、お金を出して(折半して)、世界観(エンタメ)を買っているんですね。
「A」「B」「C」でいうと、「C」です。
Red Bullがエクストリームスポーツを買うのもそうですが、これらは「スポンサーになる」とは、ちょっと違います。
#ここテストに出ます
「世界観」を買って、自社のものにしているんです。

おそらく、日本の多くの経営者が、ここを理解できていない。
「エンタメにお金を出す=スポンサーになる」という発想から抜け出せていない。
昨日と今日の話をまとめると、「企業の世界観」というのは、「企業の競争力」そのものです。
人やモノに投資するように、「世界観に投資する(世界観を買う)」という考え(選択肢)を持たないと、かなりヤバイなぁといったところです。

商談を上手く進める為に、「素敵なスーツ」や「綺麗な靴」を買うじゃないですか?
仕事をスムーズに進める為に、「オフィス」を借りて、「パソコン」を買うじゃないですか?
チームを強くする為に「優秀な人」を雇うじゃないですか?
商談を上手く進める為に、「素敵なスーツ」や「綺麗な靴」を自分で作ったり、
仕事をスムーズに進める為に、「オフィス」や「パソコン」を自分で作ったり、
チームを強くする為に「優秀な人」を自分で産んだりする経営者っていないと思うんです。
理由は、経営者が自分で作るよりも、買った方が絶対にイイものが手に入るから。
#設備投資だよ

これからの企業の「競争力そのもの」とも言える「世界観」を、経営者が自分で作ることの愚かさを、もっともっと知った方がいいと思います。
「世界観」とは単に「キラキラのファンタジーを作る」ということだけじゃなくて、たとえば、YouTubeの『THE FIRST TAKE』の世界観だったり、スターバックスの世界観だったり。
あんなの、どう考えたって経営者じゃなくて、プロ中のプロの仕事じゃん。
『くまモン』なんて「小山薫堂×水野学」という神々の仕事だよ?
なんで、素人のオッサンが『人気のゆるキャラ』を作れると思っちゃうのさ。
そこを知った方がいいと思います。
現場からは以上でーす。

 

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『西野亮廣講演会』のお知らせです。
下記の都道府県で開催が決まっています。
9月4日(日)に岐阜
10月8日(土)に徳島で、それぞれ『西野亮廣講演会』がございます。
私、西野亮廣がマイク一本で1時間半ほど喋る変なイベントです。
チケットをお求めの方は、『西野亮廣全国講演会』で検索してみてください。
サロンメンバーさんが作ってくださったイイ感じのホームページに飛びますので、そちらから。
会場によっては、まだ、チケットを発売してなかったりしますが、そのへんはご容赦ください。
講演会開催情報

よろしくお願いします。

 

西野亮廣氏ポートレイト

西野亮廣/Akihiro Nishino
1980年生まれ。芸人・絵本作家。モノクロのペン1本で描いた絵本に『Dr.インクの星空キネマ』『ジップ&キャンディ ロボットたちのクリスマス』『オルゴールワールド』。完全分業制によるオールカラーの絵本に『えんとつ町のプペル』『ほんやのポンチョ』『チックタック~約束の時計台~』。小説に『グッド・コマーシャル』。ビジネス書に『魔法のコンパス』『革命のファンファーレ』『新世界』。共著として『バカとつき合うな』。製作総指揮を務めた「映画 えんとつ町のプペル」は、映画デビュー作にして動員196万人、興行収入27億円突破、第44回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞受賞という異例の快挙を果たす。そのほか「アヌシー国際アニメーション映画祭2021」の長編映画コンペティション部門にノミネート、ロッテルダム国際映画祭クロージング作品として上映決定、第24回上海国際映画祭インターナショナル・パノラマ部門へ正式招待されるなど、海外でも注目を集めている。また「えんとつ町のプペル」は、ミュージカルや歌舞伎にもなっている。

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連載
『革命のファンファーレ』から『夢と金』

猛烈な勢いで仮説・検証・実行・改善を繰り返し、多彩なプロジェクトを成功させてきた西野亮廣さん。ベストセラー『夢と金』の著者でもあり、現代の日本において、ビジネスパーソンがベンチマークすべき人物の筆頭といえる西野さんの“今”をお届けする連載。

TEXT=西野亮廣

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