アスリートやミュージシャンなど多くの著名人の肉体改造をサポートしてきたケビン山崎氏。筋肉伝道師は日本のビジネスパーソンには、まだまだ筋肉が足りていないと言う。【特集 最高のカラダは、最強の武器はこちら】
筋肉があれば仕事の質が高まる!
トレーニングを日本人のライフスタイルの一部として根づかせたい。そんな思いからケビン山崎氏が「トータル・ワークアウト」の日本1号店をオープンしたのは2001年のこと。アメリカで活動しながら、日本の格闘家やプロ野球選手らの指導も行っていたケビン氏が、日本では一般的ではなかったパーソナル・トレーニングを本場アメリカから持ちこんだのだ。
それから約20年。今ではパーソナル・トレーニングジムも増え、男女を問わず筋トレに励むビジネスパーソンは増加した。しかしそれでもなお、日本人には筋肉が足りていないと言う。
「24時間利用できるジムも増えて、日本でもトレーニングが随分一般化したと思います。でも、トレーニングの価値、筋肉の価値はまだまだ広まっていないなと思っているんです」
そもそも、筋肉があればそれだけでカラダは疲れにくく、生活習慣病のリスクも小さくなる。肩こりや腰痛に悩まされることも確実に減る。
「保険制度の違いも大きいかもしれませんが、アメリカでは健康であることの価値が日本より高いと感じます。十分な筋肉がついた健康的な肉体が、ひとつのステータスになっているんです。大企業なら、当たり前のようにオフィス内にフィットネスジムが設けられていますしね」
トレーニングをして筋肉をつけることは、ビジネスにも好影響を与えるのは間違いない。
「運動は脳をとても刺激する行為ですから、日常的にカラダを動かせば、その分頭も冴える。また、大きく影響するのは行動範囲でしょう。筋肉がなく疲れやすい人は、遠くに行くことを避けがちになり、知らず知らずのうちに行動範囲が狭くなってしまう。好奇心があっても、カラダを動かすのが億劫だからと、川を渡って向こう岸に行くことをしなくなる。消極的になってしまうことの危険性は、経営者の方なら誰もがイメージできるのではないでしょうか」
筋肉があれば、人は何かに挑戦したくなる
人生を存分にエンジョイする。そのためにも筋肉は欠かせないものだと、ケビン氏は言う。
「トレーニングをして筋肉がつき、カラダの動きがよくなれば、人は何かに挑戦したくなるもの。それはゴルフかもしれないし、トライアスロンかもしれません。皆、小学生の頃は15分でも休み時間があったら、バッと校庭に出て思い切りエンジョイしていたはずです。腰が重くなったのは、大人になったからでしょうか。いや、筋力や活力の低下に原因がある場合がほとんどだと思います。フットワークの軽さを維持するためにも、トレーニングをする必要があるんです」
ケビン氏は70歳になった今でも週2回、各2時間のトレーニングを欠かさない。
「年をとると一度落ちたものを取り戻すのが大変なことを知っているので、やらないわけにはいかないんですよ(笑)。トレーナーとして、動きの説明もできる限り自分のカラダを使ってやりたいですからね」
滝沢直己「ケビンさんは常に進化している人」
著名人から皇室にいたるまで数多くのクライアントを持ち、ユニクロのデザインディレクターも務めていることでも知られる滝沢直己氏もケビン山崎氏のパーソナル・トレーニングを受けている。知人経由でケビン氏のウェアのデザインを頼まれたのが、出会いのきっかけだ。
「10年ほど前のことですが、年齢的にも体型の変化が気になっていたのと、歩いていてつまずくことが増えました。ケビンさんに相談したら、筋肉の強化と歩行姿勢の改善を指摘されたんです。それで、トレーニングを始めることにしました」
フィジカルコンディションが10年前よりも明らかによいのはもちろん、仕事面にも好影響が出ているそうだ。
「人間のカラダやその内側からもデザインを考えるようになりました。服で個性を演出するというよりも、服でどう個性を引き立たせるかという時代になっていると思うので、その感覚を深く理解するのにもトレーニングは役立っています」
そしてケビン氏及び「トータル・ワークアウト」の魅力は、進化し続けていることにあるという。
「10年前と言っていることが変わっていたりするんですけど、それは必要なアップデートなんですよね。変化を続けられる人だからこそ信頼できます」