師匠か、恩師か、はたまた一生のライバルか。相思相愛ならぬ「相師相愛」ともいえるふたりの姿を紹介する連載「相師相愛」。その貴重な対談の数々をまとめて振り返る。※2021年6〜8月号掲載記事を再編。固有名詞や肩書き、年齢等のデータは掲載時のまま
「テニスでは負けません(笑)」カインズ 高家正行 × マネーフォワード 辻庸介 対談
経営者や政治家などが年に一度、日本をよくするための議論をするG1サミットでお会いしたんですが、そこからテニス好きが集まって月1回、テニスをする会が始まりましてね。僕も辻さんも中学からやっていたんです。それでアフターテニスで飲み会もご一緒して。
見た目そのままで、人なつっこくて、すぐに誰とでも親しくなれる人。相手の心を開くのが上手で、年はひと回り以上、下なんですが、すごいなぁと感心していました。
当時、辻さんは起業したばかりでしたが、あれよあれよと会社が成長して、上場もして。人は成功すると、過信したり慢心したり、時に驕ったりしかねないんですが、辻さんにはまったくない。いつも素直で謙虚に人の話に耳を傾ける。フィンテックの世界では、押しも押されもせぬ人になっているのに、です。辻さんと会うたびに見習わないとな、こういう姿勢でいないとな、と学ばせてもらっています。ただし、テニスは負けないですよ(笑)。
続きはこちら
「食と美術品の趣味が合う」クリスティーズ ジャパン 山口桂 × 武者小路千家 千宗屋 対談
千さんとは共通の友人の結婚式の2次会で初めてお会いしたんですが、もう16年になります。僕はお茶の弟子でもないし、学校の先輩後輩でもないし、何も直接関わりがない。それがよかったんだと思います。ちょっと会いたいな、と頭に浮かんだ時にお声がけができるんですね。
とにかく何でも知っている人。博覧強記で、もちろん日本文化にも詳しいんですが、お茶で使うものに限らず、美術品が好きな人なんです。
何しろ忘れられないのが、2012年に私の父が亡くなった直後にお訪ねした時。一服いただいて食事にと思っていた時に点ててくださったのが濃茶。父の死は悲しいできごとでしたが、なぜか僕は涙が出なかったんです。その話をしたら、父はもう僕のなかに取りこまれているんですよ、とさらりと言われて。これで、すっと気がラクになったんです。一服のお茶を飲むことで、胸のつかえのようなものがここまで取れるのか、と驚きました。お茶の力と、人をもてなす心。一生忘れられない最高の一服でした。
続きはこちら
「前世は夫婦か恋人か?」ブリキのおもちゃ博物館 館長 北原照久×作詞家 売野雅勇 対談
ラジオ番組のゲストに来る人から、やたら売野雅勇という名前を聞くことがあったんです。 そんな時、弟みたいに大事にしてる友人が病気になってしまって。たまたまライヴのゲストで来てくれた麻倉未稀さんが歌った「ヒーロー」 が素晴らしかったので、その友人に音源を送ったら奇跡的に病気がよくなっていったんです。
その歌詞を書いた人。これはラジオのゲストに、と思って呼んだら、初めて会った気がしない。昔から知っている不思議な感じなんですよ。 それで、あっという間に、ウリ坊、アニキと呼び合う関係になって。前世は絶対につながって いたんだと思う。夫婦か恋人か親子か愛人か(笑)。
これはウリ坊も同じだったようで、自分のラジオ番組で僕のことを音楽のようだと言ってくれて。ラジオ少年だった頃の憧れであり大好きだったナット・キング・コール、プラターズ、レイ・チャールズに並ぶとまで。生放送で聴いていましたけど、これは本当に嬉しかった。今後も付き合いは続きますよ、ずっと。
続きはこちら