師匠か、恩師か、はたまた一生のライバルか。相思相愛ならぬ「相師相愛」ともいえるふたりの姿をご紹介。連載「相師相愛」第57回は、テニスを愛する経営者ふたり。
カインズ代表取締役社長CEO 高家正行が語る、辻 庸介
経営者や政治家などが年に一度、日本をよくするための議論をするG1サミットでお会いしたんですが、そこからテニス好きが集まって月1回、テニスをする会が始まりましてね。僕も辻さんも中学からやっていたんです。それでアフターテニスで飲み会もご一緒して。
見た目そのままで、人なつっこくて、すぐに誰とでも親しくなれる人。相手の心を開くのが上手で、年はひと回り以上、下なんですが、すごいなぁと感心していました。
当時、辻さんは起業したばかりでしたが、あれよあれよと会社が成長して、上場もして。人は成功すると、過信したり慢心したり、時に驕ったりしかねないんですが、辻さんにはまったくない。いつも素直で謙虚に人の話に耳を傾ける。フィンテックの世界では、押しも押されもせぬ人になっているのに、です。辻さんと会うたびに見習わないとな、こういう姿勢でいないとな、と学ばせてもらっています。ただし、テニスは負けないですよ(笑)。
同じ経営者ながら、業種もまったく違うし、年齢も違う。でも、そういうことにまったく関係なく、これまでお付き合いさせてもらってきたんです。それこそ、たわいもない馬鹿話もできるし、真面目な話もできる。
これから年月が経てば、ふたりともいろいろ変わっていくはずですが、ぜひ一生お付き合いできればと思っています。そして、お互い学び合えるように頑張りたいです。
ただし、テニスでは永遠のライバルですから、体力が落ちていってもライバルでいられるよう、頑張らねばです(笑)。
マネーフォワード代表取締役社長CEO 辻 庸介が語る、高家正行
初めてお会いした時、「経営って大変ですよね」なんて話をしたんですが、振り返ってみると当時のマネーフォワードは30人くらいの会社で、高家さんは1万人以上の従業員がいる会社の社長だったんです。なんと、畏れ多い会話をしていたのかと恥ずかしくなります。
ただ、そういうことをまったく気にされないんです。人をラベルで判断されたりしない。誰とでも等距離だし、緊張せずに話せてしまう。すごい人だなぁと思っていました。
そんな人とテニスを一緒にして、終わってからの飲み会がまた楽しくて。仕事の話はほとんどしないんですが、思いついたように「そういえば、社員が500人超えたんです」なんて話をすると、的確なアドバイスが飛んできたり。修羅場もたくさんくぐられていると思いますが、泰然自若でどっしり構えておられて。こういう経営者を目指していきたい、と思っています。
あ、でもテニスでは負けるわけにはいかないです(笑)。やっぱり悔しいですから(笑)。
僕たちは、ベンチャー企業ですし、スピードを重視するので、焦っているところがいつもあるんですよね。時に本質を忘れてしまいそうになる。デジタル関連の仕事で少し関わりを持たせてもらっていますが、やっぱり本質的なんです。それがとても大きな学びになります。
そして経営者としては、とても人を大切にされる。信念がしっかりあって、自然体ながらも強くてしなやかに行動される。かっこいいんです。こういう先輩を持てるのは、本当に幸せなことだと思っています。仕事に関係なく、一生、ご一緒させていただければと思っています。
Masayuki Takaya(右)
1963年生まれ。三井銀行を経てA.T.カーニーの戦略コンサルタントとなり、45歳でミスミグループ本社の社長に。2016年にカインズ入社。’19年より現職。
Takaya's Q&A
趣味:テニス、読書、映画・美術鑑賞
行きつけのレストラン:『エルミタージュ・ドゥ・タムラ』『リストランテホンダ』
尊敬する歴史上の人物:福沢諭吉
座右の銘:「自我作古」
自社のイチオシ商品:アルミ折りたたみランドリーラック「パタラン」。
Yosuke Tsuji(左)
1976年生まれ。ソニーを経て、2004年にマネックス証券に参画。’12年にマネーフォワードを設立し、’17年に東証マザーズ上場。新経済連盟幹事。
Tsuji's Q&A
趣味:テニス、釣り、読書、ゴルフ、最近はアートを見るのも好きです。
行きつけのレストラン:『Le Corbeau』
尊敬する歴史上の人物:スティーブ・ジョブズ
座右の銘:「人生、生きているだけで丸儲け」
自社のイチオシ商品:「マネーフォワード ME」。GOETHEの読者のみなさまには、ぜひお金の見える化サービス「マネーフォワード ME」を使っていただきたいです。より人生を愉しむお金の使い方を見つけていただけたら、うれしいです。