ビジネスの最前線で闘うリーダーやスペシャルな人の傍らには、仕事に活力を与え、心身を癒やす、大切な愛用品の存在がある。それらは、単なる嗜好品にとどまらず、新たなアイデアの源となり、自らを次のステージへと引き上げてくれる、最強の相棒=Buddyでもあるのだ。今回紹介するのは、ギークプラス代表の加藤大和氏の相棒インテリア。特集「最強の相棒」
憧れのインテリアをオフィスで共有
「自分で会社を経営することになったら、B&Bイタリアの家具を置いた打ち合わせ室をつくろうと若い頃から考えていました」
デザイナー、パトリシア・ウルキオラによるB&Bイタリアのソファに腰掛け微笑むのは、AI物流ロボットを開発するギークプラス代表の加藤大和氏。小学生から単身イギリスに留学し、そこでヨーロッパ家具に魅了された。10代後半で世界最大の家具見本市ミラノサローネを見て回ったこともあるほどのインテリア好きだ。
「建築家でデザイナーのマリオ・ベリーニの家具が特に好きで、扱っているブランドを調べていくうちにB&Bイタリアに行きつきました。他にもこんな素敵なデザイナーがいるんだと気がついたらカタログをずっと眺めているような状態に(笑)。それに新卒で入社したモルガン・スタンレー時代、東京オフィスの役員室に置かれていたソファもB&Bイタリアで、やはりいいな、とますます憧れました」
そして昨年、恵比寿に移転したギークプラスに、そのB&Bイタリアのソファとチェアを配置した打ち合わせルームを実現。「社員には、いいモノに触れていてほしいんです。みんなここで打ち合わせをしたり、疲れたらまどろんだり、思い思いに使ってくれています。いいモノは、多くの人が使う場所にこそ置きたいです」
101%の力で挑み物流を変える
現在、そのソファとチェアに腰かけて加藤氏とスタッフが取り組んでいるのは自動棚搬送ロボット「EVE(イヴ)」の、物流業界への導入だ。
「通販の利用が増え、倉庫での労働力が必要とされています。しかし人手不足で日本の物流は悲鳴をあげている。今こそ物流にテクノロジーを導入する時」
このロボットは、物流倉庫にある棚を動かし倉庫内で作業を行う人のもとへ運ぶ。人が倉庫内を歩いてモノを探す必要がなくなり、作業効率が向上する。
「これにより労働集約型のイメージがあった倉庫内作業も、その労働環境が改善されるでしょう。日本では働く人が勤勉で能力が高く、しかも賃金が安いという状態で、長らく物流業界がデジタルシフトしていかなかった。しかしその能力が高い人たちが、人間にしかできない仕事に集中できれば、世の中にいい影響がでるのです」
ナイキ、アルペン、アスクルなど大手企業が物流倉庫にこのEVEを導入。そして加藤氏はさらに先を見据える。
「中小企業のメーカーにもテクノロジーが行き渡らないと、通販の成長を物流が止めてしまう。大手と中小で物流の差が開いてはいけないんです」
まずはEVEを使ってもらいたいと、購入プランだけでなくレンタルや使い方のサポート体制も整備。普及につとめる。
「私は何でも101%の力を出して取り組むことにしています。まずは自分が全力を出さないと誰もついてきてくれない。そして1%だけ無理をする。そうして限界を超えていきたいんです」
フルスロットルに邁進する日々のなかで、このソファとチェアが加藤氏に束の間の休息を与えている。