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2022.04.01

【西野亮廣】商品のクオリティーで差別化を図れなくなった現代の「資産づくり」は、人と繋がれるかどうか。今、「祭り」が大事! ──連載「革命のファンファーレ2」Vol.36

毎度お騒がせしております。キングコング西野です。今回の記事は、毎朝voicyという音声メディアで配信している「#西野さんの朝礼」でお話したことから、編集して紹介させていただきます。(※今回の記事を音声で楽しみたい方はコチラ

今日は、「お祭りを立ち上げるメリット」というテーマでお話ししたいと思います。

【連載「革命のファンファーレ2~現代の労働と報酬」】

第36回 コミュニティーを熟成させる為には、「苦労」や「課題」や「不便」が必要!

西野亮廣

「やれない言い訳」を並べられない、すごくフェアな世界

2022年3月30・31日に、沖縄県の石垣島で『映画 えんとつ町のプペル』の上映会がありました。
今回の上映会というのは、「映画館がない島の子供達に映画を観せてあげたい」と声をあげた、一般の方の企画なんです。
吉本興業とか、電通さんとか、TOHOさんとか、ウチのような会社が企画したものではなくて、一般の方が企画したものなんです。

これって、一昔前なら、考えられなかったと思うんです。
映画というのは、すっごい権利を持っている大きな会社がハンドリングするもので、一般の、それこそ主婦が仕掛けるようなものではない…と僕らはタカをくくっていた。
というか、「映画を上映したい」と考えることすら無かった。

でも、今、それができるようになったんですね。
オンラインコミュニティー内で情報を交換して、仲間を集めて、SNSで告知をして、クラウドファンディングで予算を集めて…といった感じで、手探りで、手作業で、やれるようになった。

これは、すごくフェアな世界だと思うし、他方、言い訳のできない世界だと思います。
「やらない言い訳」「やれない言い訳」を並べたくても、実際に自分と同じような立場にある人がやってしまうので、並べられない。
「やれんじゃん」となっちゃうわけですね。

今日は、ここをもう少し深掘りしたいと思います。
本当にいろんなことが手作業でやれるようになってきたので、昔に比べて、「やる人」と「やらない人」の差がどんどん開いていっている。
この問題はキチンと向き合った方がいいと思っています。

昔は「やる(性格の)人」でも、物理的にやれなかったので、その物理的な制限が「やる性格の人」の得点を抑えてくれていました。
だけど、その制限が今、無くなった。
言い換えると「やらない人」というのは昔、物理的な制限に守られていたんですね。

人と強く繋がるキッカケに「お祭り」ほど良いものはない

さて。
さっきから「やる人」とか「やらない人」とか念仏のように繰り返していますが、ぶっちゃけ、「やったから何なの?」と思っている人、いると思うんです。
「イベントを企画したから何なの?」「お祭りを企画したから何なの?」
「それをやって、何か貰えんの?」という。

この疑問に対して、僕は現場レベルでイベントの立ち上げを知っているのですが、「イベントの立ち上げ」は基本苦労だらけです。
面倒だらけです。

じゃあ、それに見合うメリットは何なのか? というと、結論、「同じ志を持った人と繋がれる」ということだと思います。
予想通りの答えだったと思うのですが、しかし、ここは甘く見ない方がいい。

「同じ志を持った人と繋がれる」ということほど、商品の品質で差別化が図れなくなった『人検索』の時代において大きな資産はないです。

僕らは、多くの商品やサービスを「人を起点」に選び始めている。
なので、なるべく、他の人に「自分の人となり」を知られていた方が強い。

でも、人と繋がるのって、何かキッカケが必要ですよね。
特に、人と強く繋がろうと思うと、相当のキッカケが必要になってくる。
そのキッカケとして「お祭り」ほど良いものはない。

人と人が強く繋がる時って、必ず「苦労」だとか「課題」だとか「不便」といったものが必要なんですね。
要するに「協力せざるをえない環境」が、「協力関係」を作る。
お祭りの立ち上げって、「協力せざるをえない環境」の捏造や養殖で、これによって人と人が繋がれる。

皆さんの地元にも「お祭り」とかあると思うのですが、あれがまさにそれで、「祭りの準備」でコミュニティーを強めているんです。
文化祭の準備とか、普段喋らない人とも喋ったりして、完成が間に合ったら、その人とハイタッチとかしたでしょ?
あれです。

コミュニティーを熟成させる為には、ああいった「苦労」や「課題」や「不便」が必要なんです。

で、お店をやられている方ならもう痛感していると思いますが、その感じで繋がった人って、お店の常連になるんですね。
商品のクオリティーで差別化を図れなくなった『人検索』の時代に入ると、更に。

多くの人が人生の中の「面倒」を省く方向に向かっていますが、それは本当に気をつけた方がよくて、「面倒を省く」ということと「人と繋がりができるキッカケを省く」は同義です。

僕は阪神淡路大震災の被災者なんですが、皮肉なもので、あの震災の時ほど、ご近所さんと繋がった瞬間はなかったです。
苦労や問題というのは、繋がるキッカケなんですね。
で、できれば、その苦労や問題は、震災などではなく、ポジティブなものであった方がいい。
そんな時、「お祭りの立ち上げ」というのはすごくオススメです。

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西野の相槌の上手いこと上手いこと(笑)
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よろしくお願いします。

西野亮廣氏ポートレイト

西野亮廣/Akihiro Nishino
1980年生まれ。芸人・絵本作家。モノクロのペン1本で描いた絵本に『Dr.インクの星空キネマ』『ジップ&キャンディ ロボットたちのクリスマス』『オルゴールワールド』。完全分業制によるオールカラーの絵本に『えんとつ町のプペル』『ほんやのポンチョ』『チックタック~約束の時計台~』。小説に『グッド・コマーシャル』。ビジネス書に『魔法のコンパス』『革命のファンファーレ』『新世界』。共著として『バカとつき合うな』。製作総指揮を務めた「映画 えんとつ町のプペル」は、映画デビュー作にして動員170万人、興行収入24億円突破、第44回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞受賞という異例の快挙を果たす。そのほか「アヌシー国際アニメーション映画祭2021」の長編映画コンペティション部門にノミネート、ロッテルダム国際映画祭クロージング作品として上映決定、第24回上海国際映画祭インターナショナル・パノラマ部門へ正式招待されるなど、海外でも注目を集めている。

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TEXT=西野亮廣

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