酒場でこそ、人間の品格は問われる。だからこそ、いい酔い方をしたい。そこで、絶品の酒を振る舞い、人々を癒やすバーテンダーにジェントルなお酒との付き合い方を聞く。【シン・男の流儀】
自分の飲み方があるとバーがより楽しくなる
昨年、渋谷にオープンした『swrl.wine cocktail & kitchen』。ベースのカクテルをつくるのは、数々のバーアワードを受賞してきたスターバーテンダーの後閑信吾氏。それに合うワインをソムリエの大越基裕氏が選び、ワインカクテルを生みだす新しいコンセプトのバーだ。
「欧米では、カクテル派かワイン派か、と分かれるほどにカクテルが生活に根づいています。日本では圧倒的にワインのシェアの方が高いですから、まずはワインを入り口にカクテルの魅力を知ってもらいたいんです」
そう語る後閑氏は23歳からアメリカで修行を積み、バー業界のアカデミー賞といわれる「インターナショナルバーテンダーオブザイヤー」を受賞、世界的な評価を積み上げている。
「アメリカのバーテンダーが重視するのはホスピタリティ。安らぎを与える"おもてなし"と違い、会話からグラス選びまで"積極的にお客を楽しませる"という意味です。そしてそれは今、私のカクテルづくりの根幹になっています」
お客を楽しませるためには、まず自分が楽しむこと、それが後閑氏の仕事の哲学だ。
「お酒の世界は奥が深いですが、批評的視点は置いておいて、いいところを見つけに行くという姿勢で来ていただきたいですね。たまには飲み過ぎてもOK。バーに行くという経験をより楽しむためには、自分が好きな服を着て来たらより特別な時間になりますよ。また好きなお酒のブランドがあれば『これを使って』など遠慮なく指定してください。バーテンダーに好みを伝えて、自分の飲み方を確立させていくのは素敵です」
バーに行くなら、頭でっかちにならず、店と酒、そしてともに飲む相手のいいところを積極的に見つける、ジェントルな酔い方をしたい。
お酒の流儀
1. 心地よいと思える服装で来店
2. その店のいいところを見つけに行く
3. 自分の飲み方を確立させる