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2022.02.19

【遠藤保仁】生き残るために重要なこととは〈インタビュー後編〉

ピッチの中央に立ち、タクトを振るうように正確なパスと優れた戦術眼で生まれるポジショニングで、チームを動かしてきた日本を代表する司令塔。日本代表出場試合152試合を記録し、今もなお淡々と勝利を引き寄せる仕事をこなした遠藤保仁の姿は多くのサッカーファンの記憶に刻まれている。42歳、現役プロサッカープレーヤー遠藤の独占インタビュー後編。【前編はこちら

若手へのアドバイスは、決めつける言い方をしない!

今季、ジュビロ磐田の一員として、42歳でのJ1へ復帰を果たす。開幕戦でスタメン出場すれば、23年連続開幕スタメン記録。J1でゴールを決めれば、ジーコが41歳3カ月で記録した最年長ゴール記録を塗り替え、24年連続シーズン得点記録となり、自身が持つ最長記録更新を果たすことになる。
2020年秋に長く在籍したガンバ大阪から移籍を果たした遠藤は、新天地では若い選手へアドバイスする機会が増えたと笑う。

──御自身の子どもと同世代の若手へアドバイスするときに気をつけていることはありますか?
「決めつけない言い方をするということですかね。『こうしろ』とか、『こうやれ』とかじゃなくて、『こういうプレーもあったんじゃないか』という、選択幅を持てる言い方にしています。彼らが僕と同じような景色を見ているわけじゃないので、僕目線で言っても伝わらないことも多分あると思うし、『わかっているけど、それはやれないんです』ということもあると思うので。『こういう場面ではこういう感じでやる選択もあったよね、今度やってみて』みたいな。そういう言い方をするようにしています」

──遠藤選手は卓越した技術力や戦術眼など、数多くの武器があると思いますが、ご自身が武器と考えているのはどのような能力ですか?
「自分の最大の武器は頭(思考力)だと思っています。それは若いときから変わっていないですし、若いときより情報量は多くなっているとは思うので、若いときと同じような判断の速さでできるように頑張っています」

──自分の武器、強みを知ることは、競争社会で生き残る上で重要なことだと思います。しかし、それがなかなか見つけられないという若い選手も多いのではないでしょうか?
「それでも見つけろとしか言いようがないのも事実です。そのためには、いろんなことにチャレンジして、自分はこれがしたいとか、これができるという自信をつかむことが武器を見つけるには一番速いと思います。だから、ただなんとなくプレーをして、なんとなく終わるよりかは、ダメでもいいのでチャレンジするなかで、これならできるというのを見つければいいと思います」

──自分のアドバイスによって、選手が成長する姿を見て、指導者としての面白さを感じるというベテラン選手もいます。
「もちろん、将来的には指導者という仕事に興味はあります。でも、今、アドバイスをしているときにそういう気持ちにはならないですね。アドバイスをする選手はだいたい、自分と同じようなポジションの選手が多いので、ライバルですから。負けていられないという気持ちがあります。もちろん、年齢的にもそういうアドバイスをする役割が求められていると思うので、その仕事についての嫌悪感はないです」

──長くサッカーをプレーされてきましたが、現在感じるサッカーの魅力とは?
「純粋にサッカーを楽しめることが一番良いと思います。実際、今楽しめていますし、この年齢でもやれるというのを証明したいと思っています。若い選手にアドバイスするのも楽しいですし、日々、全体的にサッカーを楽しめているのが一番ですね」

──純粋じゃないというのは?
「若いときは、A代表に入って、そこでレギュラーポジションを掴んで、ワールドカップに出て……というふうに自分磨きが最優先でした。今も自分磨きという部分、上手くなりたいという欲はあります。でも、チームがうまく回るためにはどうすればいいのかと考えるようにもなった。これは年齢が重なった分、自然に生まれる感情でもあると思います。今も昔と変わらず、チームに貢献することが最優先。良いパフォーマンスを見せて、今シーズンであれば、ジュビロがひとつでも上の順位になるため、自分が持っているものをすべて出すというのが、今の目標です」

──よりシンプルになったという感じでしょうか?
「普通に試合をしたり、練習するのが、普通に楽しい。子どものような感じですね」

──3月にはガンバ大阪との試合もあります。
「どんな気持ちになるんでしょうね。今はまったくわからない。クラブで働いている人、現場のスタッフも選手も、知っている人がたくさんいるので、みんなにがんばってほしいという気持ちはあります。ただ、目の前に敵がいる限り、全力で倒しに行くというのは、どの相手でも変わらないので、ガンバ戦でも全力でプレーしたい。それを楽しめてやれていればいいなと思います」

──今や日本代表のほとんどの選手がヨーロッパでプレーしています。若い選手が海外で挑戦する機会も増えました。そんな日本のサッカー界をどう見ていますか?
「若い選手がどんどん海外でチャレンジするというのは、僕は良いことだと思います。ようやく、世界の普通のレベルに来たのかなって。海外では若い選手がヨーロッパなどの他国へ移籍するのは当たり前のことだから。これは僕個人の意見ですけど、日本のように若い選手が移籍するたびに退団セレモニーをする海外のクラブってほとんどないでしょう? 昨日までいた選手が、今日いないというのが多々ある世界だから。そして、そういう若い選手がいなくなっても、盛り上がるリーグにしていければと思いますね」

──長いプロとしてのキャリアで、自分を助けてくれたものはなんだと感じていますか?
「基礎ですね。止める・蹴る・走る。怪我をしないとか。それが絶対条件だと思います。基本、サッカーはシンプルが一番だと思っています。そういう意味では、目立たないけれど、絶対に必要な選手というのは、各チームに必ず存在します。そういう選手がクローズアップされるようになれば、良いなと思います。日本でそういう選手が注目されるのは代表に入ってからなので、その前から注目しているという眼を持つ人が増えたら良いなと思っています」

──同世代の選手だけでなく、遠藤選手よりも若い選手の引退も相次いでいます。御自身のキャリアの残り時間について考えることはありますか?
「まあ、これから10年はプレーしないと思いますよ。ただ、いつやめるかは僕自身もわかっていません。毎年、1年1年が勝負の人間ですし、そういう世界に僕はいるので。毎年今年が最後だという気持ちでやろうと思います。自分を必要としてくれるクラブがなければ引退しなくちゃいけないのがプロの世界。自分から引退しますという可能性もあるし、なんとなく引退しているということもありえる。先はわからないですね。でも、どういう形であれ、自分がやりきったと思えば悔いはない。だから毎年毎年、やりきったなと思えるシーズンにしたいです」

Yasuhito EndoASUHITO ENDO
1980年鹿児島県生まれ。日本代表国際Aマッチ出場数最多記録保持者。1998年に鹿児島実業高校から横浜フリューゲルスに入団、京都パープルサンガ(現:京都サンガF.C.)を経て、2001年、ガンバ大阪に加入。ガンバ大阪では数々のタイトル獲得に大きく貢献し、2003年から10年連続でJリーグベストイレブンに。日本代表としても、3度のワールドカップメンバーに選ばれる。2020年7月4日にJ1最多となる632試合出場を達成。2020年10月、ジュビロ磐田にレンタル移籍し、2021年には、史上初の22年連続開幕戦先発を達成。2022年シーズンより磐田に完全移籍。

前編はこちら

TEXT=寺野典子

PHOTOGRAPH=Getty Images

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