「九州の魅力をもっと多くの人に知ってほしいんです」--黒木啓司さんのそのひと言でスタートしたのが本連載”啓印(ケイジルシ)”だ。宮崎出身であり、2017年には九州発のエンタテインメントプロジェクト「THE NINE WORLDS」を立ち上げた九州ラバー・黒木さんが九州各地を訪問。そこで出会ったさまざまなヒト・モノ・コトに太鼓判(=啓印)を押していく。
第九回 世界が認める鮨職人の“唯一無二の酢飯”
九州の豊かな恵みが集まる福岡で握る鮨
玄界灘や博多湾など良質な漁場が多く、日本でも屈指の鮨激戦区として知られる福岡。そんななかにあって福岡の中心部から少し距離を置き、閑静な住宅街に店を構えていながら、国内外から食通たちが足繁く通うという名店が「菊鮨」だ。
店主は二代目の瀬口祐介さん。18歳より福岡の老舗で修業した後、モナコ公国の5つ星ホテル「メトロポール モンテカルロ」で鮨の指導者として活躍。7年前に満を持して店を引き継いだ。
「福岡には九州中の美味しい食材が集まってくるので、僕らにとっては幸せな環境。うちは特に、シャリにこだわりを持っています。佐賀の専業農家に頼んで、精米前に米内部の水分量を微調整してもらい、仕入れています。“菊鮨専用のお米”ですね。それを土鍋で炊いて、赤酢と合わせるんです」
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第十回 日本料理の魂をこめた“ダシ”で味わう鮨
独創的なアレンジで唯一無二の感動を与える
2018年5月のオープン直後からミシュランの星を獲得し、舌の肥えたフーディーたちの話題をさらう福岡の「鮨 唐島」。若き店主・唐島 裕さんは、大阪の割烹「作一」や神戸の「紀茂登」(現在は東京に移転)など、日本料理の名店で修業し独立を果たした気鋭の鮨職人だ。
季節の魚介の茶碗蒸しを皮切りに、つまみ、握り、そして卵焼きへ……。ダシに始まり、ダシで締めるというその構成には、日本料理を学んだ唐島さんの技術が随所に光る。また、供される鮨は九州の魚介を中心に、手間と工夫を惜しまず、味、大きさ、質感、温度など、さまざまな要素が緻密に計算されている。
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第十一回 “旅”で出合った食材に真心をこめる和食
ダシの“旨味”が九州の食材を引き立てる
福岡の中心地から少し離れた白金エリアにある、ミシュランの星を持つ割烹『白金にし田』。店主の西田慎吾さんは、福岡の伝説の名店『手島邸』で腕を磨き、『博多水炊き とり田』で料理長を務めた後独立を果たした、気鋭の料理人だ。
コースの冒頭に供するのは、和食の基本である“ダシ”。鰹節を鍋にくぐらせ、素早くお猪口に注いで提供する。甘みのあるダシは西田さんの名刺代わりの一品だ。二品目からは煮炊き、焼き物、お造りなど旬の野菜や魚介を主役にした品々が続く。
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