毎度お騒がせしております。キングコング西野です。
(こちらは、オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』に投稿した記事を加筆修正したものです)
さて。
今日は『世界戦で戦うなら、知っておくべきこと』というテーマでお話ししたいと思います。
【連載「革命のファンファーレ~現代の労働と報酬」】
第21回 世界トップレベルのエンタメは、「自由競争」ではなく、「コミュニティー(村社会)」だった!
『映画 えんとつ町のプペル』のアメリカ公開が決まりました。
主要都市での公開は2021年12月30日から。
拡大公開は2022年1月7日から。
アメリカのお住まいのお友達にお伝えいただけると嬉しいです。
そんなわけで、ニューヨークに来ています。
海外戦では、実力は勿論のこと、「仕掛けていく」ことが必須
ニューヨークはただいま朝の10時。
昨日は、「会食」と呼ぶにはしつこすぎる呑み会がど深夜(朝?)までありました。
連日、この調子で、かなりヘロヘロです。
今日は手短に(端的に)、アメリカに来て、あらためて思い知ったことを共有したいと思います。
僕たち日本人は、「努力して、結果を出せば上のステージに上がれるシステム」の中で生きています。
たとえば、小学生の頃に、リトルリーグでバカスカとホームランを打っていれば、中学の有名クラブから声がかかり、そこで結果を出せば、有名高校からスカウトされ、そこでも結果を出せば、プロ球団から声がかかります。
吉本興業の学校で結果を出せば、劇場のオーディションに出ることができて、オーディションで結果を出せば、劇場のレギュラーメンバーになれて、そこで結果を出せば、関西の番組から声がかかり、そこで結果を出せば、東京の番組から声がかかり、そこで結果を出せば、ゴールデンタイムの番組のレギュラーの座が与えられます。
僕たちは「今いる環境の中で結果を出せば、次のステージに行ける」というルールでずっと生きてきたので、問題集を解くように生きることに何の疑いもありません。
ただ、これには重大な欠点があります。
それは、「結果を出せば次のステージに行ける」は、国内止まりだということです。
世界中の才能が集まるハリウッドや、ブロードウェイからすると、わざわざ日本まで出向いて、優秀なプレイヤーをハンティングする必要がありません。
「へぇ、才能あるんだ。頑張ってね」で、終わりです。
国内戦では「結果を出せば次のステージに行ける」ので、言ってしまえば「どう仕掛けていくか?」を考える必要がないのですが、海外戦となると、実力を兼ね備えておくことは勿論のこと、仕掛けて行かなくちゃいけません。
球団を退団して、メジャーリーグに挑戦することを表明しなくちゃいけないのです。
世界戦のホントのところ
そうすることで、ようやく世界戦が始まるわけですが(ここからが本題)、
実際、外の世界に出てみると、映画業界にしても、ミュージカル業界にしても、多くの人がイメージしているような「自由競争」ではなく、「コミュニティー」が極めて強いことが分かりました。
そこは「○○さんの紹介」や「○○さんと繋がっている」がモノを言う世界で、単身乗り込んでいって、才能(実力)だけでどうこうできる世界ではありません。
連日、ヘロヘロになりながら、ランチとディナー(今日もある)を繰り返しているのもそれが理由です。
世界を圧倒できるだけの才能があることは大前提。
「繋がり」を持っておかなくちゃ、試合に出られないのです。
人と繋がっておくことがモノを言う世界なので、アメリカでは、トップクリエイターであろうと、トッププレイヤーであろうと、「人と会うこと」を大いに受け入れます。
セレブであろうが、せっせとパーティーに参加します。
まさか、「私、コミュ障なんで…」とは言いません。
コミュ障であろうが、コミュ障を宣言しては生きていけないのです。
#コネクション命
世界トップレベルのドンパチが「自由競争」ではなく、「コミュニティー(村社会)」をベースに回っていることを今回は肌で感じています。
そして、それならそうで、望むところ。
「郷に入れば、郷に従え」で、このルールの中で、生きてやろうと思いました。
このことを皆さんに伝えたくて、二日酔いで死にかけながら、この記事を書いています。
今から1時間後には、ニューヨーク在住のアーティストと会食が入っています。
#1ミリも腹減ってねーよ
メチャクソ頑張ります。
現場からは以上で〜す。
西野亮廣/Akihiro Nishino
1980年生まれ。芸人・絵本作家。モノクロのペン1 本で描いた絵本に『Dr.インクの星空キネマ』『ジップ&キャンディ ロボットたちのクリスマス』『オルゴールワールド』。完全分業制によるオールカラーの絵本に『えんとつ町のプペル』『ほんやのポンチョ』『チックタック~約束の時計台~』。小説に『グッド・コマーシャル』。ビジネス書に『魔法のコンパス』『革命のファンファーレ』『新世界』。共著として『バカとつき合うな』。製作総指揮を務めた「映画 えんとつ町のプペル」は、映画デビュー作にして動員170万人、興行収入24億円突破、第44回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞受賞という異例の快挙を果たす。そのほか「アヌシー国際アニメーション映画祭2021」の長編映画コンペティション部門にノミネート、ロッテルダム国際映画祭クロージング作品として上映決定、第24回上海国際映画祭インターナショナル・パノラマ部門へ正式招待されるなど、海外でも注目を集めている。
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