男性スタイリストという職業の地位を自らの腕一本で高め、66歳を迎えた今なお木梨憲武、市川海老蔵、高中正義、葉加瀬太郎、田中将大ら数々の一流仕事人のスタイリングを手がけている。大久保篤志は、なぜこれほどまでに大物たちを惹きつけ、愛され続けるのだろうか?大久保が専属でスタイリングを担当する一流仕事人と数々の戦友からメッセージをもらった。【独占インタビューはこちら】
専属担当者たちから見た大久保篤志の魅力
歌舞伎俳優 市川海老蔵
昔も今も「第一線」でトレンドを捉え続けるスタイリストとして、厚い信頼を寄せています。そしてこの「第一線」で在り続ける偉大さには尊敬の念が尽きません。公私ともに長い付き合いですが、年齢を重ねても変わらぬ強さと柔軟性を兼ね備えた素敵な方。時折覗かせる「普通のおじさん」の顔にも、周囲を惹きつける魅力を感じます。
プロ野球選手 田中将大
撮影ではいつも大変お世話になっております。大久保さんに用意していただく衣装は、デザインやサイズ感などすべてが素晴らしく、いつも安心してスタイリングしていただいています。お忙しいなかでもいつも現場に足を運んでいただき、優しく声をかけてくださるので、楽しく撮影に臨めています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
バイオリニスト 葉加瀬太郎
大久保さん40周年おめでとう!いつも作ってくださるステージ衣装がなければ僕の音楽活動は成り立ちません。デザインで葉加瀬太郎を形作ってくれました。知らない素材を使ってアスリートのようなライブパフォーマンスを可能にしてくれました。これからもずっと僕の芸術活動を支えて下さい。50周年に向けて益々のご活躍を期待してます!
ミュージシャン 高中正義
彼とは、僕の16枚目のアルバム『GAPS!』以来の付き合いになるかな。あれは、1989年発売だから、もう32年になりますね。今では、僕の撮影の時からステージ衣裳までのすべてを作ってもらっている。僕には、なくてはならない人だね。コロナが収まった時には、一杯やりましょう!
タレント 木梨憲武
ファッション業界においても芸能界においても大久保さんは「ボス」。この世には、さまざまな“大久保伝説”が伝わっています。酔っぱらって階段から落ちて大けがしたり、原宿で女性編集者から「おじさん、お洒落だからスナップ撮らせて」と声をかけられたり。本当のところボクのスタイルを作ったのは大久保さんといっても過言ではない。
時代を彩ってきた戦友からのメッセージ
ファッションデザイナー 菊池武夫
あっちゃんの根源であるスタイリストとしての才能が現在の大久保篤志を創り上げた。音楽好き、写真好き、あくなき探求心、好きなことは実現したいと強く思う心、独自のセンス、北海道で育んだ大らかな人間形成、そして、風貌がもたらす格好よさ、これは決め手。
写真家 半田也寸志
若い頃、YAMAHAの「55 mph」というバイク雑誌の撮影で、海外ロケに一緒に行き、過酷な毎日を過ごしたことがいまだに記憶に残っています。とにかくよく食べ、よく飲み、服が好きな、人から愛される男。同い年の戦友としてこれからもお互い第一線で頑張りましょう。
写真家 三浦憲治
西麻布のロックバー「PB」で一緒に朝まで飲み明かしていた頃が懐かしい。1989年にマイアミで彼が失踪する直前、一緒に高中正義さんの撮影に臨んでいた。「おーい、先に帰るぞ!」とドア越しに話しかけたのが昨日のようだ。俺に責任はなかったことを明記しておく。
聖林公司 ゲン垂水
20代で北海道から夢を抱いて上京してきた大久保篤志さんが、神宮前にあった日本家屋の畳の部屋から一本の電話をかけてこられたのが始まりでした。色々ありましたが、よくぞここまできたと思います。
かつて彼の誕生日に、とある劇場にお連れした際に、大笑いし過ぎて劇場のマネージャーから注意されました。また、このマネージャーがスーツしか着たことがないというので、スタイリングを頼まれて、カバーオールを勧めたことも覚えています。
また、飲みに行った時に、階段を踏み外して数メートル下に落ちて入院するなど、まったく自由でダイナミックなスタイリストです。
仕事は常にポイントを的確に捉えて、早くてしっかりしています。
これからも健康第一に良いスタイリングを続けてください。
写真家 森川 昇
1980年代Y's for menの撮影で世界中を旅した時、服は着る人の魂があって成り立つものだという哲学を感じました。現在も当時とまったく変わらぬ世界観、’70年代からのロックから来るイマジネーションは見事です。時流に影響されずスタッフを大切に突き進んで下さい。
ダイアモンドヘッズ代表 横山修一
大久保篤志はちょいちょい心配をかけるけど憎めない弟のような存在です。今から30年以上前、YAMAHAの55mphというバイク情報誌やY's for menのカタログなどで、モデルのスタイリングを頼みました。過酷な長期海外ロケでは肉体的にも精神的にも追い詰められて殺伐とした雰囲気になることがあります。そういう時、何度か彼のキャラが場を和ませてくれました。また、彼のコーディネイトで、シックで大人っぽいスーツのVゾーンにはいつも感心します。死ぬまで大好きなメンズファッション、やり通りして下さい。
スタイリスト 馬場圭介
大久保さんは私の師匠ですが、年上の友達という感覚もあります。人との接し方やスタイリストとしての心がけを学びました。ひとつだけ言わせてください。弟子だった頃、(野口)強がいなかったら絶対にすぐ辞めていたと思います(笑)。これからもお互い頑張りましょう。
スタイリスト 野口 強
大久保篤志氏の弟子として、忘れられないのは強烈なるこだわりです。海外ロケでホテルに泊まった時、まず部屋のインテリアを大久保さん好みにするところから始めます。同じ弟子に馬場さんがいたからこそ頑張れました(笑)。とにかく洋服好きな師匠を尊敬します。
スタイリスト 祐真朋樹
京都にいた17歳の頃に見た、『スタイリストの本』に登場していたのが大久保さん。「男でもこういう仕事ができるのか」と知りました。5年後、僕はマガジンハウスで大久保さんに仕事を発注する立場に。いつ見ても、人生を楽しんでいる。周りの人をも楽しませる天才。
Atsushi Okubo
1955年北海道生まれ。’78年に上京し、文化服装学院などを経てオンワード樫山に契約社員として入社。退職後、雑誌『POPEYE』編集部を経て’81年にスタイリストとして独立し、雑誌『anan』で活躍。その後、広告やショースタイリング、著名人の専属担当などに活動の舞台を移し、評価を不動のものに。2006年からは自身のアパレルブランド「The StylistJapan®」を展開する。