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2021.01.21

東京五輪開催を信じて海外移籍を決断した”水球の大黒柱”志水祐介の挑戦とは【コロナ禍のアスリート】

約1年の延期が決まった東京五輪。本連載「コロナ禍のアスリート」では、まだまだ先行きが見えないなかでメダルを目指すアスリートの思考や、大会開催に向けての舞台裏を追う。

Licensed by Getty Images

セルビアの強豪レッドスターへ移籍

垂れ込めていた暗雲が、さらに厚みを増してきた。新型コロナウイルスの感染拡大により今夏に延期された東京五輪の開催に対する悲観論が年明けから加速している。米国の有力紙や通信社が相次いで中止の可能性に言及。国際オリンピック委員会(IOC)元副会長で名誉委員のケバン・ゴスパー氏(87=オーストラリア)は開催可否の判断を国連に委ねることを提案した。昨年3月にはゴスパー氏の延期主張直後に1年先送りが決定しており、無視できない発言だ。

世論調査では、中止と再延期を合わせた今夏開催への反対意見が80%以上を占める。開幕まで残り200日を切った段階で五輪出場枠の40%以上が埋まっておらず、予選の開催も不透明。五輪をめぐる状況は日を追うごとに厳しさを増している。

逆風の吹く中、東京五輪を競技人生の集大成と位置付けて海を渡るアスリートがいる。水球男子日本代表の大黒柱、志水祐介(32=ブルボンウォーターポロクラブ柏崎)がセルビアの強豪レッドスターへの移籍を決断した。首都ベオグラードに本拠地を置くクラブで、’12-’13年には欧州チャンピオンズリーグを制覇。’20年にはセルビアカップで優勝している。’16年リオデジャネイロ五輪で金メダルに輝いたセルビア代表にも多くの選手を輩出する世界的な強豪だ。

志水は1月18日に新潟県柏崎市内で会見を開き「若い頃は雲の上の存在だったクラブ。オファーを受けて、喜びの反面、驚きもあった。セルビアで“日本、アジアに志水あり”と思わせたい。センターでスタメンになり、強いチームの中でどう戦うか。それが東京五輪のメダル獲得につながる。東京五輪を開催する、しない、は僕たちが決められることではない。選手としてしっかり準備をするだけ」と力を込めた。5月末までの期限付き移籍で、チームに合流するため21日に渡欧する予定だ。

中学の体育教師から1年で復帰

志水は筑波大に所属した’08年に19歳で日本代表入り。当時はアジアでも勝てない冬の時代で、’12年ロンドン五輪は予選で敗退して出場を逃した。一度は一線を退くことを決意し、新潟県内の中学校で体育教師に就任。生徒に夢を持ち努力することの大切さを説くうちに、五輪出場の夢を叶えていないこと、そして水球への思いを断ち切れていないことを再確認した。

1年で教師を辞めて、競技に復帰。’16年リオデジャネイロ五輪予選では、日本代表の32年ぶりの五輪出場に貢献した。主将として迎えた五輪本番は予選リーグで5戦全敗。’17年10月に左肩腱板断裂の重傷を負い約10ヵ月間プレーできなかったが、東京五輪でのリベンジを目標に掲げてカムバックを果たした。

水球日本代表は積極的に海外遠征を行ってきたが、新型コロナウイルスの感染拡大後は国内での強化合宿を余儀なくされている。センターフォワードの志水が世界の強豪国との試合でマッチアップする相手は身長2m超の選手が多い。自身の身長は1m81cmで、技術とスピードで対抗することが求められる。国内の練習相手では体感できないパワーとサイズで「センターとして世界を意識できる環境に身を置きたかった」ことも移籍の決断を後押しした。

過去に志水は、オーストラリア、イタリア、ハンガリーでプレー経験があり、ハイレベルなチーム内競争が待ち受けていることは理解している。シーズン途中からの加入となるが「レッドスターでプレー機会を得られないようなら、東京五輪にはつながらない。何かを得るというよりは自分の持っている技術、スタイルをいかに進化させるかの勝負になる」と強調。「東京五輪ではリオ五輪でできなかった1勝をして、1歩ずつ段階を踏んで、最終的にはメダルを獲得したい。快挙を成し遂げたい」と視線を上げた。

日本代表最年長32歳のレフティーは、今夏のTOKYOに活躍の舞台が整うことを信じて、世界最高峰の舞台に挑む。

TEXT=木本新也

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