師匠か、恩師か、目をかける若手か、はたまた一生のライバルか。連載「相師相愛」第36回は、枠にとらわれないふたり。
アース製薬代表取締役社長・アースグループCEO 川端克宜が語る、疋田直太郎
8年ほど前、私がまだ大阪支店長時代に、ある人に頼みこんだんです。大阪で一番の取引先のトップに会いたい、と。過去にそんなことをした支店長はいなかったし、後に自分が社長になるなんて思ってもいない。業界では有名な方ですから、会うまで心のハードルが本当に高かった。でもお会いしたら本当に自然に接してくださって。以来ゴルフに誘ってもらったり、プライベートジェットに乗せてもらったり、クルマを見せてもらったり、沖縄や鹿児島などあちこちにご一緒したり。お洒落な方ですから、ファッションについても教えていただきました。
考えてみたら、仕事の話をしたことはないんですよね。いろんな企業のトップとお付き合いがありますが、仕事の話なしにこんなに仲良くさせていただいているというのはまずない。僕にとって、心のつながりなんです。プライベートジェットもそうですが、疋田さんは業界の枠にまったくとらわれない人。まっさきに先頭に立って行動するところ、尊敬しています。
コーナン商事代表取締役社長・疋田直太郎が語る、川端克宜
彼は若いけどようやりよる、前任地でもすごく売り上げていた、という噂を聞いていて、会わせてもらったんです。その後、どんどん川端さんの評判が耳に入るようになった。悪く言う人は誰もいなかった。とにかく親しみがある。ええヤツやな、と僕も思いましたね。
それとお洒落なんですよ。ブティックなんかもよう知ってる。ある時、時計を見に行ったら、うちの家内も川端さんに何度も会ってるんで、「ここの時計をしてはったよ」と言うんです。そうしたら時計店の店長が「その川端さんって、アース製薬の川端さんですか? 」と言うわけです。世間って、狭いんですよ。洋服も、そんなの会社に着て行けるの? みたいな服を着て行っちゃうしね(笑)。僕も服は好きなので、男でそういうのは珍しいからウマが合った。東京の本社の社長室も印象的やったしね。赤をうまく使っていて。
だいぶ年下ですけど、彼とのお付き合いは心地いい。気を遣わない。ゴルフも楽しいんです。
それにしても、ゴルフはうまなったなぁ。びっくりする。距離も出るようになった。
ふたりで組んで勝ったのは、よう覚えてます。途中まで、これはもう負けるかもしれんな、と覚悟しかかってた。それが最後の最後で逆転したんです。でも、最後は勝てるって思ってたで。負けるって思いながら、やれへんからね。まあでもそうそう勝てる相手じゃなかったから、あれは本当にうれしかった。
僕からお願いはひとつだけかな。釣った魚にエサをやること。冷たいことを言わんと連絡してや。川端さんは、ちゃんとエサをあげられる人だけど、これからもよろしく。
Naotaro Hikida(右)
コーナン商事 代表取締役社長。1956年生まれ。大学卒業後、コーナン商事入社。取締役店舗運営部長、常務取締役事業本部長、取締役副社長、代表取締役副社長を経て、2014年より現職。
Katsunori Kawabata(左)
アース製薬代表取締役社長 アースグループCEO。1971年生まれ。大学卒業後、’94年にアース製薬に入社。役員待遇営業本部大阪支店長、取締役ガーデニング戦略本部長などを経て、2014年より現職。