師匠か、恩師か、目をかける若手か、はたまたライバルか。相思相愛ならぬ「相師相愛」ともいえるふたりをご紹介。第31回は、医療イノベーターとITエバンジェリスト。
中山五輪男が語る、杉本真樹
今も年間200回くらい講演するんですが、ほぼ毎回必ず紹介しているのが、最先端のコンピュータ端末を身につけて手術をしている杉本さんの映像です。初めて会った時はクールな印象もありましたが、話してみると若いのにとてもしっかりしているし、喋りもうまい。なんたって見た目もカッコいい。この人は来るぞ、と思いましたよね。そうしたらどんどん有名になって、『情熱大陸』にも登場して。まさに日本の医療業界を変えたひとりですから。
ただ、私がびっくりしたのは、病院を辞めて会社を立ち上げたことです。大学の先生は辞めないと思ったんですが、退路を断って起業したことは改めて本物だと思いました。ここから杉本2.0が始まるんでしょうね。世の中を大きく動かすのは、たったひとりだったりするんです。それができる人ですよね。なんたって視点が高い。社会のために、世の中のために、と考えている。これは孫正義さんと同じです。新たなこの職場で、その支援ができたら私も嬉しい。
(これよりWEB版限定テキスト)
会社を替わる気はまったくなかったんです。エバンジェリストを紹介してほしい、という相談を最初、受けたんですね。ただ、ソフトバンクに16年もいて、孫さんからこんな話もされていたんです。「たまには別の山に登ってみるのもいい。その頂上からは違う景色が見えるよ」と。今、杉本さんとは医療ベンチャーと富士通という組み合わせになったので、これは相師相愛も2.0になるんじゃないかと思っています。もうちょっと先になると、もっともっと面白いことができるような気がしているんです。
杉本真樹が語る、中山五輪男
孫正義さんに対談に招待された時、孫さんからiPadのエバンジェリストだと紹介されたのが五輪男さんでした。初めて聞く職業名でしたが、とにかく未来のITやモバイルに詳しいし、鋭い質問が飛んでくる。私もこれまで年130回くらい講演していたんですが、五輪男さんは当時300回講演していると聞いて、こんな人はいないと驚いた。それからマメに連絡を取りあい最新事例を教えあったり、私がやっていた医療フォーラムに登壇していただいたりしました。
当時ITやモバイルを用いて医療を効率化しようとしていたんですが、先行事例がないとなかなか医療は進まない。それを見事なスピード感でサポートしてもらいました。ただ、当時ソフトバンクの通信キャリアとしてできることに限りがありましたが、なんと富士通に転身。さらに一緒に世の中を変えるようなテクノロジーが作れる。国産メーカーと組みたい思いもありましたから、人工知能の医療応用など、画期的な技術に一緒に挑んでいきたいです。
(これよりWEB版限定テキスト)
思い出深いのは、私が毎年主催した5回の医療フォーラムの最終回に、ソフトバンク時代の中山さんに登壇して頂いた時のことです。講演が終わったあと、「最後にどうしても伝えたいことがあります」と中山さんに言われて。なんと孫正義さんから直々の、僕へのお礼の言葉を紹介してくださったんです。私もまったく知らなかった、うれしいサプライズ。これには、会場も驚いて割れんばかりの拍手とともにスタンディングオベーションになって。中山さんと壇上で固い握手をした時は、本当に感無量でした。天性のエバンジェリストなんです。こんな人、いないですよ。
Iwao Nakayama(右)
富士通常務理事、首席エバンジェリスト。1964年生まれ。大学卒業後、日本DEC等を経てソフトバンクグループへ。iPhoneとiPadの事業推進などをエバンジェリストとして担当。2017年より現職。
Maki Sugimoto(左)
HoloEyes COO,Co-founder、医師、医学博士。1971年生まれ。医学部卒業後、神戸大学大学院准教授に。2017年、医療画像とVR/AR/MRを融合した医療情報サービスを提供するベンチャーを起業。