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2018.11.26

【保存版 建築家ガイド】理想の邸宅をかなえる、日本の凄腕建築家12人

邸宅などの記事を読んでいると理想の住まいへの妄想が膨らむが、その夢を具現化してくれる建築家が気になるものだ。 そこで、ゲーテが選ぶ、12の日本の建築事務所をご紹介!

坂倉建築研究所 坂倉竹之助

「 Y 邸」(2015年竣工):軽井沢の土地のポテンシャルを引きだし、美しい木立に囲まれた環境を享受できるつくりに。

Q.理想の家を建てるために必要なことはなんですか?
--施主の方のご希望をできるだけ共有させていただくこと。また、私が設計から完成まで一貫して関わった実際の建物を見ていただくこともお薦めです。

Q.難題だった施主からの要望は?
--ご要望に近づけ、よりよい案にまとめていくことが役割なので、難題と感じたことはありません。細かい使い勝手を考え、いかに居心地よく過ごしていただけるかを常に考えて設計しています。

Takenosuke Sakakura
1946年東京都生まれ。父は日本のモダニズム建築第一人者、坂倉準三。作品には「ギャラリー・サカ」、著名人の軽井沢や湘南の別荘、ゲストハウスがある。

NAP建築設計事務所 中村拓志

「虹をさがす家」(2016年竣工):吹き抜けの開口にガラス角棒を積層。季節や時間帯によって自然光が刻々と変化する。

Q.得意とする設計は?
--自然の美しさを引きだす設計と来客をもてなすための設計です。

Q.難題だった 施主からの要望は?
--アラブ某国の王子からの「砂漠に 建築物を建ててほしい」というリクエスト。巨大なドームの内部にオアシスをつくり、その中に人々が憩う空間を設計しました。

Q.敬愛する建築家は?
--アルヴァ・アールト。使う人や地域、そして自然への愛が建築に込められているからです。

Hiroshi Nakamura
1974年東京都生まれ。明治大学大学院理工学研究科博士前期課程修了。隈研吾建築都市設計事務所で勤務した後、2002年にNAP建築設計事務所を設立した。

APOLLO 一級建築士事務所 黒崎 敏

「GRIGIO」(2015年竣工):RC打ち放しに自然光を取り入れた空間に施主所有のアート作品が映える。Art=蜷川実花 .AN)mika ninagawa

Q.得意とする設計は?
--アートや自然環境と共存するモダンでミニマルな空間。またホテル&ヴィラのような快適な空間設計。

Q.理想の家を建てるために 必要なことはなんですか?
--施主が心地よいと感じるホテルやレストランで設計の打ち合わせを。同じ空間を共有して話し合うとイメージが摑みやすいからです。

Q.敬愛する建築家は?
--ピーター・ズントー。場の特性を深く理解し、静謐でミニマルな空間をつくる設計手法に共感します。

Satoshi Kurosaki
1970年石川県生まれ。明治大学理工学部卒業。大手メーカーや設計事務所を経て2000年に現事務所を設立。国内外で活躍し、設計した建物は18年間で170棟以上。

フリーダムアーキテクツデザイン 小室芳樹

「N邸」(2017年竣工):リビングに接する中庭から入る光によって室内の雰囲気が時間帯でドラマティックに変化。

Q.得意とする設計は?
--土地の条件を活かしたシンプルな空間に、クライアント個々のテイストを織りこんだ設計。

Q.今まで設計した住宅のなかで、達成感があったものは?
--熱海湾を見下ろす7万坪の土地に建てたセカンドハウス。山を切り拓き、どこに建物を配置するかが重要で、あまり手を加えずに自然の傾斜を活かし、最大限に自然を感じられる空間をつくりました。

Q.敬愛する建築家は?
--安藤忠雄。建物はもちろんですが、 その生き様がカッコいい。

Yoshiki Komuro
1976年京都府生まれ。同志社大学工学部機械システム工学科卒業。アトリエ設計事務所などを経て、2008年同社に入社。狭小住宅から豪邸まで幅広く手がける。

acaa 岸本和彦

「Earth&Horizon」(2017年竣工):傾斜地に建つ二世帯住宅。多摩川を眺望する全開口のリビングと、安心感のあるダイニングが浮く様に併置。

Q.得意とする設計は?
--陽光と陰影、そして広がりと籠もり感の均衡が取れた空間をつくること。

Q.難題だった施主からの要望は?
--初老夫婦の終の棲家。物理的要望がなく、代わりに老後の物語を書いた手紙をいただき、感動と同時に自分の人生観や美的感覚などすべてが試されると思い、プレッシャーを感じました。

Kazuhiko Kishimoto
1968年鳥取県生まれ。早稲田大学創造理工学研究科修了。建築事務所勤務を経て’98年にATELIER CINQU(現 acaa)を設立。国内外で建築の賞を多数受賞している。

ディーディーティー 一級建築士事務所 武富恭美

「諏訪山の家」(2014年竣工):高台の立地を生かし、2・3階からは眺望が広がる。多方面から採光しているため、室内は光に包まれた空間に。

Q.得意とする設計は?
--世界の集落が多様性に富んでいるのは、地域によって異なる気候風土がその一因です。例えば東京、軽井沢など同じ都内、町内でも土地はそれぞれの特性を持っています。そのため、その敷地が持つポテンシャルを最大限に活かした設計を行うよう常に心がけています。

Q.難題だった施主からの要望は?
--磯崎新アトリエでも担当していたカタールの首長一族がクライアントのプロジェクトは無理難題の連続でした。しかし、Impossible, Difficultではなく、Challengingと楽しめば、解決策は必ず見いだせると思っています。

Yasumi Taketomi
1968年東京都生まれ。東京大学工学部建築学科卒業。同大学院修士課程修了後、 コロンビア大学大学院へ。’94に磯崎 新アトリエ入所、2001年に現事務所を設立。

SUPPOSE DESIGN OFFICE 谷尻 誠+吉田 愛

「飯能の小屋」(2015年竣工):周りの自然に溶けこむように、多種多様な植物に覆われた住宅。日々成長する植物とともに住宅も常に変化していく。

Q.得意とする設計は?
--常に場所や条件、予算に合わせて、新しい解答を見つけて施主に提案することです。

Q.今まで設計した住宅のなかで、達成感があったものは?
--傾斜地などの悪条件をクリアし、豊かな環境をつくりだせたときにやりがいを感じます。

Q.難題だった施主からの要望は?
--困難が新しいアイデアをつくると思っているので、難題だと思ったことは特にありません。

Makoto Tanijiri/Ai Yoshida
ともに1974年広島県生まれ。 2000年に広島で、SUPPOSE DESIGN OFFICEを谷尻氏が立ち上げ、’01に吉田氏が参画 した。現在は、共同主宰し、国内外で活躍している。

千葉学建築計画事務所 千葉 学

「片瀬山の家」(2014年竣工):2階のふたつの個室の間に吹き抜けがあり、各個室は吹き抜け側に開口を設置。縦と横がつながった空間が広がる。

Q.得意とする設計は?
--一日中家の中で過ごしていても、飽きることがない楽しい家をつくることです。

Q.今まで設計した住宅のなかで、達成感があったものは?
--その土地に眠っていた魅力が、家の完成によって存分に発揮された瞬間と、施主の方が喜んで暮らしていることが何よりの達成感です。

Q. 敬愛する建築家は?
--たくさんいますが、敢えてひとり挙げるとすると、ルイス・カーンです。静かな佇まいと心動かされる空間にいつも感動します。

Manabu Chiba
1960年東京都生まれ。東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了。日本設計を経て’93年ファクターエヌアソシエイツ共同主宰。2001年事務所を設立。

手塚建築研究所 手塚貴晴+手塚由比

「水平線の家」(2013年竣工):東京湾に面した海辺の家。建物の前面に柱が一本もないため、海が目の前に広がり、圧倒的な開放感を得られる。

Q.得意とする設計は?
--眺望を活かした設計と構造の工夫によって、最大限の気持ちよさを生みだす設計。

Q.難題だった施主からの要望は?
--施主の要望から発想して形にするのが得意なので難題はなく、屋根の上で食事をするためにキッチンを屋根につくったこともあります。

Q.敬愛する建築家は?
--ルイス・カーン。彼の生みだした建築は、限りなく美しいからです。

Takaharu Tezuka/Yui Tezuka
貴晴氏は1964年東京都生まれ。由比氏は1969年神奈川県生まれ。ともに武蔵工業大学卒業。’94年現事務所を共同設立。「ふじようちえん」などの設計も手がける。

彦根建築設計事務所 彦根 明

「House M」(2014年竣工):住宅街の閉塞感を感じないよう、周囲の自然を借景するように庭、そして住宅を設計して開けた空間を実現。

Q.得意とする設計は?
--土地や法規の難しい条件を裏返して好条件にして問題を解決することです。環境的な性能についても提案することができます。

Q.難題だった施主からの要望は?
--地熱の熱交換を熱源として冷暖房にするという要望。当時は熱交換自体が住宅規模では難しかったため、地下水や蓄熱するタイプの輻射暖房を用いて代用しました。

Q.今まで設計した住宅のなかで、達成感があったものは?
--施主からの要望で設計に挑戦した、外壁面に直線や平面がない、卵形の住宅。

Akira Hikone
1962年埼玉県生まれ。東京藝術大学建築学科修士課程修了。磯崎 新アトリエを経て、’90年に現事務所を設立。 約20年東海大学で教鞭を執るなど後進の育成も行う。

平田晃久建築設計事務所 平田晃久

「Tree-ness House」(2017年竣工):住宅やギャラリーが入る複合ビル。ボックスが複雑に積み重なり、さらにひだ状の開口部や外階段、植物が絡み合う構成。

Q.得意とする設計は?
--野性的な自然を感じられながら、都会的な雰囲気も併せ持つ空間づくり。

Q.今まで設計した住宅のなかで、達成感があったものは?
--階段でできた住宅、植物のような住宅、庭が 積層された住宅など、どれも今までにないようなもので、やりがいがありました。

Q.敬愛する建築家は?
--ミケランジェロ・ブオナローティ。他の追随を許さない立体感のある空間造形力には、思わず魅かれてしまいます。

Akihisa Hirata
1971年大阪府生まれ。京都大学大学院工学研究科修了。伊東豊雄氏の事務所を経て、2005年に現事務所を設立。国内外で活躍しながら、京都大学で准教授も務める。

藤本壮介建築設計事務所 藤本壮介

「House N」(2008年竣工):「家の中に自然が欲しい」という要望のため、屋内と屋外の境界を曖昧になるよう設計。屋内でも外にいるような空間に。

Q.得意とする設計は?
施主の希望やライフスタイル、敷地条件などから、ユニークで、それでいて普遍的な住宅をつくりだすことを得意としています。自然と建築、内部と外部、プライベートとパブリック、シンプルさと多様さなど、一見相反する価値を融合して、住宅に昇華させることを常に考えています。

Q.敬愛する建築家は?
ル・コルビュジエ。20世紀初頭に、新しい建築を切り開いた構想力とともに、常に人間のための場所を考え続けた点に共感します。そして、彼の建築は、訪れるたびに予想を超えた発見と驚きがあります。

Sou Fujimoto
1971年北海道生まれ。東京大学工学部建築学科卒業後、 2000年に現事務所を設立。国内だけでなく、パリやベルギーでも賞を受賞するなど海外からの評価も高い。

TEXT=編集部

PHOTOGRAPH=高島 慶(Nacása & Partners)、藤井浩司(Nacása & Partners)、西川公朗、辻谷 宏(Nacása & Partners)、上田 宏、辻谷 宏(Nacása & Partners)、Toshiyuki Yano、西川公朗、木田勝久/FOTOTECA、井上 玄、Vincent HECHT、IWAN BAAN

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