セレブリティがこぞって旅のコーディネイトを依頼するのが、富裕層向けコンシェルジュサービス、アルカディアの才津香果(さいつかぐみ。以下かぐみ)さん。これまで自身の旅にかけてきた自腹総額は9億円超え。非日常を求め世界を回り続ける彼女が紹介する、脳がバグる驚きの旅とは。連載第11回目は、豪華客船でかなえる、最も快適な地球最果ての地への航海。

動物たちの世界にお邪魔する南極大陸
人間が生きてはいけない極寒の地。世界各地を旅してきた旅のエキスパートたちが、いつかはたどりつきたいと願うのが、地球最果ての地、南極あるいは北極だ。氷に閉ざされたその場所を旅するなら、本来は死をも覚悟して一歩一歩進まなければいけない。けれど南極も北極も、実は豪華クルーズ船やプライベートジェットに乗って、ワインを味わいながら優雅にたどりつくことができるのだ。
「南極・北極へのエクスペディションクルーズは今、更に進化を続けています。ヘリコプターや潜水艦を搭載したクルーズ船や、プライベートジェットで南極大陸まで直接降り立てる旅まであるんです。ラグジュアリーなクルーズ船の場合、ゲストとクルーの数は同数に近く、質の高いサービスを受けることが可能です。全室スイートルーム、テラスや専用バトラーつき。防寒衣類やブーツもすべて貸しだし可能で、船内で販売もしているため、究極、手ぶらで乗りこんだっていいんです」
南極大陸への航海は、南米チリのプエルト・ウイリアムスからスタート。世界で最も荒れ狂う海峡と呼ばれるドレーク海峡を抜け、たどりつく南極半島。上陸すれば多種のペンギン、アザラシ、クジラなど数々の動物たちを見ることができる。
冷たい空気を全身に浴びて北極圏を実感する
一方、北極航路はノルウェー北方、スヴァールバル諸島のロングイールビュエンが出発港となる。ノルウェー北部の大自然を眺めながら北極圏を進み、氷の世界でホッキョクグマを探す。
「ホッキョクグマは絶滅危惧種であり、2万6000頭ほどしかいないと言われています。ホッキョクグマを見るために北極航路に乗るのは3回目というゲストにも出会ったことがあるくらい難しく、出逢えたらとてもラッキーです。一方南極を代表するペンギンは人に対して警戒心もなく、南極では多種のペンギンに出会えます。個人的には最初は南極がお薦めです。南極大陸を踏み締めれば、今度は北極圏へ、更には南極点や北極点まで! という思いがきっと募りますよ」
豪華クルーズ船の場合、レストランは船内にいくつもあり、寒いなか、敢えてオープンデッキで、石焼プレートでステーキやロブスターを焼いてもらうグリルレストランも体験したいもの。氷の大地を眺めながら、熱々の肉を頬張れば、まるでホッキョクグマになったかのような気分に!?
「流氷の間でのシーカヤック体験など、アクティビティも充実しています。なかには極寒の海に飛びこんで数秒で引き上げてもらう、という驚きのアクティビティも。水着1枚で飛びこむ体験は忘れられない体験でした。医療スタッフやアクティビティスタッフのサポートが万全なラグジュアリー船だからできることです」
旅慣れたセレブリティたちの好奇心は、とどまるところを知らないのだ。

才津香果/Kagumi Saitsu
1982年生まれ。アルカディア代表取締役。国内外の富裕層に向けた、会員制のコンシェルジュサービス会社を運営。商品手配から、医療の紹介、ラグジュアリーな旅の手配までオーダーメイドで富裕層の要望をかなえる。 Instagram:@kagumi.trip