ジョエル・ロブションが料理を監修していたモナコの老舗レストラン「ル・アンバサダー・バイ・クリストフ・キュサック」がミシュラン2つ星を獲得した。ロブション亡き後、レストランを率いてきたシェフ、クリストフ・キュサック氏に話を聞いた。
ジョエル・ロブションの右腕が腕を振る「ル・アンバサダー・バイ・クリストフ・キュサック」
モナコの中心部であるカジノ広場やカフェ・ド・パリにも近いゴールデンスクエアに建つ、「ホテル・メトロポール・モンテカルロ」。創業は1886年という老舗ホテルが2004年に全面改装を実施。その際にフランスを代表するインテリアデザイナー、ジャック・ガルシアが客室とともに手がけたのが、メインダイニングのレストランだ。
もともとはあのジョエル・ロブションが料理監修をしていたが、2018年にロブションが急逝。2020年にロブションブランドを廃止後クローズしたが、彼の右腕だったクリストフ・キュサックがレストランを率いて2023年「ル・アンバサダー・バイ・クリストフ・キュサック」としてリオープンした。
パリが最も華やかだったベルエポックの時代を彷彿させるインテリアのレストランを舞台に、キュサック氏の活躍によってロブション亡き後も人気は右肩上がり。2023年、オープンからわずか9ヵ月後ついにミシュラン2つ星を獲得した。
小柄でありながらも独特の存在感と貫禄をもつキュサック氏が、忙しさのピークであろうディナー前に厨房から出てきて、にこやかにインタビューに答えてくれた。
シンプルな一皿に技術が光る
「メニューの構成はスペインや北アフリカなどのスパイスを特徴とする料理と、広い意味での現代的地中海料理の組み合わせ。そして私自身はフランスの伝統料理がベースにあるので、それらを総合して風味豊かな料理に仕上げています。
料理とは素材を引き立てるもの。1つの料理に3つの味を使うのが黄金バランスだと思っています。そのため私の料理の見た目はとてもシンプルです。ただ細部まで気を使い、技巧を凝らしています。ひと口味わえば、味の再発見が楽しめるはずです」
モナコはグルメ大国だった
F1などでモナコには多くの人が集うが、美食の都という印象は薄く、グルメを目的とした滞在で訪れる人が少ない印象がある。けれど実際はどうなのだろうか。
「モナコはある意味グルメの最終目的地ではないでしょうか。新しい飲食店が頻繁にオープンし、約170軒のレストランが軒を連ねています。そのうち7軒は合計11個のミシュランスターを保有。面積がたった2k㎡の国で驚くほどのグルメ大国だと思います」
そんなキュサック氏に「ご自身の店以外で、大事な客人をもてなす店は?」と聞いてみた。
「モナコで特別な日を過ごすのなら、ランボルディにある『ラ ターブルダントニオ サルヴァトーレ』がおすすめです。創造的で革新的なイタリアンはミシュランスターにふさわしいもので、格別で忘れられない体験をさせてもらえますよ」
2024年10月からホテルの宿泊エリアの改装が始まる関係で、レストランもしばらくクローズするという。ミシュランスターのニュースも拍車をかけ、今やキュサック氏のテーブルもかなり予約困難。今のうちにぜひその貴重な一席をリザーブしてほしい。
ル・アンバサダー・バイ・クリストフ・キュサック Les Ambassadeurs by Christophe Cussac
住所:4, Avenue de la Madone, Monte-Carlo, 98007, Monaco
TEL:+377-93-15-15-10
営業時間: 19:30〜22:30
定休日: 火曜・水曜
料金:the tasting menu at 255 €