食とサウナを極めた本田直之氏がリスペクトするそれぞれのプロフェッショナルとは――。今回は、N.Y.のミシュラン二つ星獲得店で経験を積んだエグゼクティブシェフ、タシ・ジャムツォ氏の最新プロジェクト「ENOWA YUFUIN(エノワ 湯布院)」をご案内。【特集 ホテル案内2023】
土地に溶けこみ、大地の味を届ける
2023年6月、大分・由布院に開業するボタニカルリトリート「ENOWA YUFUIN」。ここのレストラン「JIMGU」のためにニューヨークから移住し、3年間準備をしてきたエグゼクティブシェフがタシ・ジャムツォ氏だ。
「彼は『ブルーヒル アット ストーン バーンズ』副料理長を務めていた人です。ここは食の世界的トレンドFarm to Tableを牽引してきたレストラン。マンハッタンからクルマで1時間半ほど、32万㎡の広大な土地に畑や牧場があり、肉も卵も野菜もすべて自分たちでつくっています。僕も訪れましたが、野菜中心のメニューが素晴らしく、彼はブルーヒルでの体験を由布院で再現しようとしています」
その料理は、まず由布院の畑の土づくりから始まった。京都で料理人向けの完全オーダーメイドの野菜をつくっている石割照久(いしわりてるひさ)氏のもとで、現在70種類以上の野菜、果物、ハーブを育てている。加えてタシ氏は九州各地の農家を訪ね、パートナーとなる生産者と食材も探しだした。
「彼は本気です。開業直前の来日ではなく、3年も準備してきました。日本語も流暢に話せるまでにマスター。由布院に住んで畑をやるわけですから、地元の農家と交流し、食材を知るためには日本語は不可欠です。そのために彼は凄まじい努力をしてきました。SustainabilityとかFarm to Tableという言葉は、時にファッションのように使われる文脈もありますが、彼はそんなものとは一線を画す、本物を見せてくれるはずです」
「JIMGU」ではタシ氏が、その日にピークを迎える食材を見極め調理するという。さらにENOWAには天然温泉、サウナも用意される。土地のものを食し、土地の熱で温まる、その経験を今、本田氏は待望している。
「ブルーヒルの料理は、素材が力強いけれど優しい味でした。それは彼の人柄にもつながります。彼の感性で日本の食材がどう料理されるか楽しみ。宿そのものがデスティネイション(目的)になる。きっと世界中の人がここを目指すはずです」
タシ・ジャムツォ/Tashi Gyamtso
1990年チベット生まれ。アメリカの複数のレストランで修業の後、2015年からニューヨーク郊外の「ブルーヒル アット ストーン バーンズ」へ。2020年よりENOWA立ち上げのため日本在住。
本田直之/Naoyuki Honda
一年のうち5ヵ月をハワイ、3ヵ月を東京、2ヵ月を日本の地方、残り2ヵ月は世界を旅する。著書は『トップシェフが内緒で通う店150』『人生を変えるサウナ術』など多数。
ENOWA YUFUIN/エノワ 由布院
2023年6月8日開業
住所:大分県由布市湯布院町川上 丸尾544
TEL:0120-770-655
料金:Villa棟ひとり¥99,825~(4名利用時、夕朝食つき、税サ込、入湯税別)、ホテル棟ひとり¥79,860~(2名利用時、夕朝食つき、税サ込、入湯税別)
※2023年9月30日まで開業記念プラン
施設:客室19室、レストラン、サウナ、インドアガーデン、ワーキングガーデン、ヒーリングガーデンほか
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