ゲーテ読者に薦めたいとっておきの1冊をピックアップ! 今回は、クリス・ギレボーの『人生は気づかぬうちにすぎるから。』をご紹介。

クリス・ギレボー 著/児島修 訳 ダイヤモンド社 ¥1,980
「時間管理」という呪縛を解く
NSCや企業研修の講師をしていると「トレンドの悩み」がわかってくる。最近特に増えたのは「タイムマネジメント」について。どうすれば限られた時間を効率的に使えるのか? 生産性を向上させられるのか? 実に多くの人が時間管理のコツをご所望する。そこから見えてくるのは、「時間と自分をコントロールしなければならない」「さもなければ落伍者だ」という強迫観念に覆われた社会である。
本書の面白さは、そんなタイムマネジメントを真っ向から否定し、「そもそも時間は管理できない」と言い切ってみせる点にある。代わりに著者が差しだすのは、世間の正解から降りて「自分第一」で思考していくマインドセット。その時間術は、すぐに実践できるものから、「おばあちゃんっぽい趣味を持つ」といったファニーなもの、「受信トレイのメールを破産させる」などの、やや腰が引けるものまで多岐にわたり、正直、私には不向きなメソッドもあったことは確かだ。
しかし、それらの新視点は起業家や作家として成功した著者の経歴、そして、旅好きの彼が35歳までに193ヵ国を訪れたという、豊かな自分時間の創出に裏づけられているのである。
桝本壮志/Soushi Masumoto
1975年広島県生まれ。放送作家として数々の人気番組を担当。NSCの講師も務め、令和ロマンなど教え子をM-1に輩出。著書『時間と自信を奪う人とは距離を置く』が発売中。

