英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第296回。

上司とステーキでも食べたのかと思ったら…
先日、アメリカに転勤している日本人の友人から届いたメッセージにこう書いてありました。
“I have beef with my boss.”
私が、英語勉強中なのを知っているので、その友人はあえて英語で送ってきているようです。
直訳すると「上司とビーフを持っている」です。上司とビーフステーキを食べたってことでしょうか。もうアラフォーなのになかなか強靭な胃だなぁと関心していたら、
Beef=もめごと
という意味のスラングなのだそうです。
つまり上司ともめちゃった、ということ。仕事上でのもめごとはよくあることですが、それでも直属の上司と深刻な言い争いになるとなかなか気まずそうです。
諸説ありますが、かつてアメリカ兵たちが配給の硬すぎる牛肉にブーブー文句を言っていたことが語源なんだとか。
さらにヒップホップの世界でも「〇〇と××がビーフしてる」というような言い方がよくされるそうです。これはつまり、ディスり合ってる、バトルしてる、ってやつでしょうか。
そう聞いて意識的にアメリカの若者のYouTubeを覗いてみれば“Did you hear about their beef”なんて言っている人たちもちらほら見つけました。
この意味を知らなければ「BBQの話でもしているのかな?」なんて平和的な勘違いをしてしまうところでしたが、たぶん「あいつらのいざこざ聞いた?」みたいなことなんでしょうか。
Beef=もめごと、そう知って以来私はトラブルの匂いがすると「これはビーフ案件ですね」「肉が焼けるいい香りがしてきました」とか嘯いて、周りに変な目で見られ始めています。