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2025.03.27

自分を嫌いになってしまいがちな人へ、沁みる言葉。【ティモンディ前田】

「仕事や育児、人間関係でちょっと疲れてしまった」「何となくうまくいかなくて、心がモヤモヤする」。そんな思いを抱えながらも毎日を一生懸命に生きる人たちに向けて、お笑い界きっての読書家であるティモンディの前田裕太さんが、“心にジュワッと沁みこんでくる言葉”をセレクトします。第4回は、森見登美彦著『四畳半神話大系』からの一節。

thomas-kinto / unsplash ※写真はイメージ

「ありもしないものばかり夢見て自分の足元さえ見てなかったのだ」

『四畳半神話大系』(森見登美彦/角川文庫)

向上しなくたっていい

ああだったらいいな、こうなりたいな、という自分の理想を持つことは世の中で良いことだと思われがちです。

夢を持て、向上しろ、前に前に、と先に進む言葉が世の中には溢れています。確かに目標に向かって進む人間は魅力的に見えるでしょう。

でも、世の中そんな精神的体力に富んだ人間ばかりではありません。そこまで頑張る必要もないんですよ。

僕は、仕事の面で見ても「ああなりたいな」「こうなれればいいのに」と自身の足りないところばかりに目がいってしまって、自分のことが嫌いになることが多々あります。

足りないところは努力して、理想の自分になることは推奨されている社会ですからね。食レポだって上手くなりたいしリアクションだって上手になった方が重宝されますから、苦手で不得手なものですが、そこが得意になれればな、と日々悩んでいます。

そんな時はこの『四畳半神話大系』を見て、無駄に自身の可能性にばかり思考を巡らせて疲弊し、自分のことが好きになれなくなるスパイラルに歯止めをかけようと試みたりします。

自分のないものを数えていて時間を浪費するのも悪いことではないですが、きちんとまずは自分の手元、足元にあるものを確認する作業をしてみるのも大事な作業なのです。

自己肯定感が低くなりがちな現代社会ですが、自分の足元を見て、そこにあるものを愛すことで自分のことを好きになれたらいいですね。

本作は、他責思考の権化である大学生の“僕”が、色々なサークルに入って夢に見る華のキャンパスライフを謳歌するために奔走する作品です。

僕の人生のバイブルとして何百回と読み返した作品。

是非、自分の足りないものや無いものばかりに目が向いてしまう時は、この作品を読んでもらえたらと思います。

ティモンディ前田裕太さん
前田裕太/Yuta Maeda
1992年神奈川県生まれ。お笑いコンビ、ティモンディのツッコミ・ネタ作成担当。愛媛県の済美高校の野球部で高岸宏行と出会い、2015年にティモンディを結成する。教育番組『天才てれびくん』(NHK Eテレ)の14代目MC。読書大好き芸人としても活動。また、保護猫ボランティアにも携わり、その様子を発信している。

TEXT=前田裕太

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