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2025.03.12

スイスの名門家具メーカー「Vitra」、働き方に合わせた変幻自在なオフィスとは

フリーアドレスや在宅勤務など働き方の変化に伴い、デザイナーズ家具を使ったラウンジ型のオフィスが増えている。家具ブランドのオフィスから、交流が生まれるインテリアの秘訣に迫る。今回は、Vitra(ヴィトラ)のオフィスを紹介する。【特集 アートな家具】

ヴィトラのミーティングスペース
ヴィトラの「パントン チェア」やヴィトラの傘下であるアルテックの「ロープ チェア」など、さまざまな椅子が並ぶミーティングスペース。「ダンシング ウォール」には大型のモニターを設置している。

変化できる家具を使用。常に最適なオフィスに

ジャン・プルーヴェをはじめ、ジャスパー・モリソン、柳宗理など偉大なデザイナーの名作家具を数多く扱うのがスイスのヴィトラだ。

本国の本社では、オフィスに対して、クラブオフィスと呼ばれるコンセプトを採用。社員同士や取引先などとの交流の場であることを大切にし、なおかつ柔軟に対応できる空間が作られている。それを実現しているのがヴィトラの家具で、同社では常に未来を見据え、働き方の変化を予測。それに見合う家具を世界で活躍するさまざまなデザイナーとともに生み出している。

働き方の変化に柔軟に対応できる家具を使用

例えば、エドワード・バーバー&ジェイ・オズガビーが手がけた「ソフト ワーク」と呼ばれるモジュラーソファシステムは、ホテルのロビーやカフェ、空港などのスペースが働く場所へと変わりつつある時代を踏まえてデザインされたものだ。通常のソファに比べて座面が高く、クッションも適度な硬さで、仕事がしやすい。さらにサイドテーブルやコンセントなどさまざまなパーツを組み合わせることで、空間や用途に合うソファを実現できる。

ヴィトラのソファとシェルフが置かれたスペース
両側から座ることのできる「ソフトワーク」(ソファ)は背面が間仕切りのような役割を果たしている。また「ダンシング ウォール」にはシェルフを装着。エスプレッソマシーンなどをのせるキッチン棚として使用。

ステファン・ヒュルレマンによってデザインされた「ダンシング ウォール」は、事業が拡大するなどビジネス環境の急速な変化にオフィスが対応するための機敏性を重視したモバイル式パーテーションだ。本体のフレームに、取り外し可能なホワイトボードやファブリックパネルを合わせて間仕切りにしたり、シェルフやレールを取りつけて本棚やクロークとして使うなど、必要に応じてカスタマイズが容易にできることが特徴だ。日本で働く社員の拠点となる、ヴィトラ トーキョー オフィスでもテレビモニターを取りつけたり、植物を飾るなどさまざまな用途に使用されている。

ヴィトラの打ち合わせスペース
植物を飾った黒い「ダンシング ウォール」を間仕切り代わりに使用。打ち合わせや作業のためのスペースをふたつに区切っている。テーブルもキャスターつきのため、ひとつの空間を用途に合わせて簡単に変えられる。

同様にロナン&エルワン・ブルレックと協働で開発した「アルコーヴ」も、オフィスの変化に柔軟に対応できる家具だ。コンセプトは「部屋の中に部屋を作る」で、クッション材を使った吸音効果のあるキルティング加工のパネルをファスナーで連結することで、パーテーションのようにエリアを分けたり、個人で集中できるスペースを作り出すことができる。

デザイン性にも柔軟性にも優れたヴィトラの家具が、新たな働き方に見合うオフィスを実現しているのだ。

ヴィトラのオフィス
限られた空間を「アルコーヴ」によって仕切ることで、コミュニケーションスペースとパーソナルスペースが共存する。キャスターつきの「ダンシング ウォール」のおかげで空間の形を自在に変えることができる。

オフィスの新常識

1.移動式の家具で構成。空間が変幻自在に

キャスターつきの家具を多く使用することで、社員の数や業務内容に変更があっても、オフィスのレイアウトを簡単に変えられる。

2.家具の役割を変え模様替えをする

空間の使用目的が変わった場合に、家具を替えるのではなく、それぞれの役割を変えることで、効率よく模様替えができる。

ヴィトラ トーキョー オフィス
住所:東京都渋谷区千駄ヶ谷3-59-4 クエストコート原宿101

【特集 アートな家具】

この記事はGOETHE 2025年4月号「総力特集:惚れ惚れする人生の相棒、アートな家具」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら

TEXT=石川博也

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