需要が高まり続ける沖縄の土地や住宅。富裕層向けの高級物件を扱う、業界のエキスパートに最新事情を直撃! 【特集 沖縄に住む】
Q1.今、富裕層の間で話題のエリア、宜野座とは?
A.沖縄に別荘を持つ。そこで多くの人が希望するのが、コバルトブルーの海と白い砂浜に面した南国風情漂う土地だ。その条件を満たすのは主に本島西側エリアだが、なかでも恩納村は別荘地として不動の人気を誇る。最も別荘が集中しているため、ビーチ沿いで広い土地を確保するのが難しく、プライバシーが保たれにくい。そうした理由から、近年、本島東側の宜野座が支持され始めている。
「数年前、某経営者が宜野座に素晴らしい別荘を建てたのを機に、富裕層から一気に注目されるようになりました。1区画500坪以上を希望される方が多いのですが、宜野座なら海沿いでその広さの土地が見つかりやすいですね。また、別荘地の前に広がるビーチをプライベート感覚で利用できる点も人気の理由のひとつです」
Q2.別荘を建てるのに穴場のエリアは?
A.宜野座でビーチ沿いの土地を購入する場合、坪単価40万〜50万円は下らない。
「海沿いで、もう少し手頃な価格でとなると、南城市がお薦めです。価格は上昇傾向にありますが、坪20万〜30万円前後と宜野座に比べれば手がだしやすいと思います。以前は地元の方が暮らす地域でしたが、美しい海に囲まれ、神の島と称される離島、久高島といった名勝地が点在するなど、リゾートとしてのポテンシャルは高いですね。実際、当社でも南城市を指定されるお客様が増えています。那覇市に隣接する南風原町(はえばるちょう)から南城市までの南部東道路が完成すれば(現在一部開通)、那覇からクルマで20分ほどで来られますし、2024年8月、沖縄初となる『コストコ』が南城市にオープン予定なので、日用品の買いだしにも困りません」
Q3.国際通り周辺は坪単価1000万超えも!? 地価の上昇率は?
A.2024年3月の公示価格によると、沖縄県内は全用途平均5.5%アップで、住宅地に限っては全国トップの上昇率に。しかも、11年連続で上昇中と、ちょっとした土地バブルが起こっている。日本のなかでも出生率がダントツに高く、急激な人口減少の心配がないことやインフラ整備が進んでいるのが、主な理由だ。なかでも地価が最も高いのが那覇市で、全用途の平均坪単価は96万4000円。商業地はさらに高い。
「インバウンドの増加で、商業地への投資熱が高まっていることが背景にあるのでしょう。沖縄きっての繁華街、国際通りには、坪単価1000万円以上のところもあるほどです。国際通り周辺は土地の売りだしがほとんどないので、どんなに価格が高くても、出れば即売という状況が続いています」
Q4.富裕層の間で増えてきている、沖縄内での2拠点生活とは?
A.沖縄をこよなく愛する富裕層の間で最近多く見られるのが、沖縄本島内での“2拠点生活”。宜野座や恩納村といった海沿いに1軒、空港に近く飲食店や商業施設が充実している那覇市内にもう1軒と、ふたつの別荘を所有する動きだ。
「空港に到着する時間が遅い時や繁華街で遊ぶ予定がある際は街中に泊まり、翌日、自分のクルマで海沿いの別荘に向かう。そうした使い方をされている方が多いようです」
那覇の市街地で富裕層に人気があるのは、「ザ・ナハテラス クラブレジデンス」といった高級ホテルのレジデンス。
「那覇市内には富裕層が求める広さやグレードの住居が少ないのが現状。ただ、海外も含め富裕層が沖縄に注目しているので、今後はラグジュアリーな物件が増えると推測されます」
Q5.目利きが注目している隠れ人気エリアは?
A.「沖縄の別荘で富裕層が重視するのはビーチの美しさですが、2軒目、3軒目ともなると少し事情が変わります」
そう前置きしたうえで、福島氏が挙げてくれたのが首里城周辺。琉球石灰岩を用いた石畳に曲がりくねった路地、赤瓦の古民家など、そこかしこに琉球王朝の名残が漂い、世界遺産緩衝(かんしょう)地帯に指定されているエリアだ。
「広い土地は入手しづらいものの、海沿いはすでに所有されている方が『街中で沖縄の歴史や文化が感じられる場所を』と、選ぶケースもあります。琉球王朝があった“気”のよさも支持されているようです。2023年に完成したマンション、『プレミスト首里金城町』は、総戸数67戸で平均価格は約9500万円、2億円超えのユニットもありましたが、首都圏のお客様を中心に売れ行きは好調でした」
Q6.宮古島などの離島は、実は賃貸住宅経営にうってつけ!?
A.ここ5、6年で新しいホテルが続々とオープンし、2024年4月にはプライベートジェットを受け入れるみやこ下地島空港ビジネスジェットターミナルが竣工した宮古島。年内には外資系ラグジュアリーホテル、「ローズウッド 宮古島」も開業予定と、国内外の富裕層から熱い視線が注がれている。
「別荘を所有する動きも活発ですが、不動産の投資先としても宮古島は魅力的だと思います」それは、ホテルの増加に伴い、そこで働く人の移住が増えているにもかかわらず、住居が不足しているためだ。
「宮古島のアパート経営は、利回り10%を超えるケースも珍しくありません。再開発が進む石垣島も同様です」アパート経営なら東京より沖縄の離島で。それが今後のトレンドになるかもしれない。
この記事はGOETHE 2024年9月号「総力特集:人生の楽しみ上手が集う島 沖縄に住む」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら