ゲーテ読者に薦めたいとっておきの1冊をピックアップ! 今回は古屋星斗とリクルートワークス研究所の『「働き手不足1100万人」の衝撃』をご紹介。
働き手不足が招く日本の未来。衝撃のシミュレーション予測に震える
街にゴミが溢れ、道路は補修されずに放置。救急車は呼んでも来ず、警察官や消防士はなり手がいない……。本書はそんな未来の日本を予測した衝撃の報告書である。
冒頭から第4章までは、読むのが苦しかった。このままのペースで行くと、今から16年後、つまり2040年には労働需要に対して1100万人もの働き手不足が起きると予測されており、その未来があまりに悲惨だからだ。
人手不足は医療、介護、インフラ整備にもおよび、国民は生活維持ができなくなる。企業は生活者の不満に応えるサービス分野に労働力をまわさざるを得なくなり、先端分野への人材供給ができずイノベーションは停滞する。にわかには信じられなかったが、その疑念は本書が示す詳細なデータによって打ち消され、私は恐怖すら覚えてしまった。
しかし、第5章から展開されるのは、未来のシナリオを変える手だてだ。企業が取り組むべきタスクや、シニア世代や個人で起こすべきアクションなど、現実的な解決策が示される。
読了後に芽生えたのは希望だった。私たちの未来は、危機の時代であると同時に大きなチャンス、さまざまな可能性に溢れる時代でもあるのだ。
桝本壮志/Soushi Masumoto
1975年広島県生まれ。放送作家として数々の人気番組を担当。NSC(タレント養成所・吉本総合芸能学院)の講師も務めており、令和ロマンをはじめ、多くの教え子をM-1に輩出している。