35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第203回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
I am wax man!?
先日イギリスに長く住んでいたという日本人の方とお話しをしていました。その方は在英8年のうち、病院に行ったのはたった1度だけ。しかも100円ショップならぬ1ポンドショップで購入した綿棒の、ワタ部分が耳に残って取れなくなって行ったのだそうです。
「お医者さんに、耳にワタが入ってとれないって言ってるのに、『ワタなんか入ってない』とか“You are just a too much wax man”と言われてさ」
と、その方は笑いながらおっしゃいました。
しかしながら、トゥーマッチワックスマン、とは一体なんでしょうか。
わかったような、わからないような顔をしていたら、教えてくれました。
Wax=耳垢
この場合はそういう意味だそうです。
「ワタなんか入ってない、耳垢が溜まっているだけだ」と医者に言われたのだということです。
「ワックス」とは、日本語でもなんとなく、硬めのクリーム、という印象で、床に塗るワックスもあれば髪の毛につけるワックスもあります。英語でもそのニュアンスで、ろうそくの「ろう」なんかのことも「ワックス」と呼んだりします。
日本語も英語も文脈によってなんの「ワックス」なのか変わってくるので、前後をよく聞かないとなりません。
ただそれとは別に英語では「耳垢」のことも「ワックス」というのだそうです。
耳垢が床に塗るワックスのようにベタベタしている人もいれば、粉っぽい人もいますが、トータルで耳垢が「ワックス」なのがちょっと面白いなと思ってしまいました。
「ワックス」は基本的に、にちょにちょしたもののことなんだな、とこの会話で理解したのですが、辞書を見ていたら「上弦の月」のことをwaxing moonというのだそうです。
そんな綺麗な言葉から、耳垢まで「ワックス」なのが不思議すぎます。
医者に“just a too much wax man”と言われたその方は、数年経って再び耳の違和感が気になり別の病院に行ったところ、ついに耳の奥からワタが発掘されたそうで「何年も耳にワタを入れて過ごすなんて危ないことを」とその医者に怒られたということです。
その後日本に帰国しても、綿棒のワタが外れないか、耳に入れる前に綿棒チェックをするのが癖になってしまったそう。
「waxという単語を覚えられたのはいいけど、ひとつの単語を覚えるのにだいぶ命懸けだったな」と、今は健康体で笑っていらっしゃったので、なんともなくて本当によかったです。
連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者による英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。