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2023.05.01

とにかく明るい安村は、なぜ英国オーディション番組で大ウケできたのか

35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第194回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……

Illustration=Norio

大爆笑をさらえたのは、英語の特徴をつかんでいたから!?

とにかく明るい安村さんがイギリスのオーディション番組、「Britain's Got Talent」に出演され、大爆笑をさらったニュースを多くの方がご覧になったと思います。

私もその動画を見て、これまで何度もテレビで安村さんのネタを見たことがあるはずなのに、初めて見た時くらい、大爆笑してしまいました。

そして、気がついたことがありました。

ここまで大爆笑をさらえたのは、英語の特徴を掴んでいたからではないかと。

安村さんは、ステージに上がった際に、バスローブを脱ぎます。その時点で審査員は“No no no!”と叫び舞台袖の司会者たちも“Tony can’t go! (トニー、脱ぐな!)”と言っています(Tonikakuの略で、愛称がトニーになったのでしょうか)。

パンいちになった安村さんはこう言います。

“I’m wearing pants but I can pose naked. (私はパンツを履いていますが、裸の状態で止まることができます)

そこから、音楽とともに、ご存知の裸に見えるポーズを披露。

“Don’t worry, I’m wearing.(安心してください、履いていますよ)”
と英語で決め台詞を放ちます。それを聞いて審査員の方が“Pants! ”と叫びました。

以降、
“Don’t worry, I’m wearing!”と安村さんが言うと、

観客も審査員も“Pants!”と叫び、コールアンドレスポンスが続いていきます。

観客も審査員も巻き込んだ、とにかく明るい安村の作戦!?

最初に見た時は、「イギリス人って不思議なノリだなぁ」と思いましたが、動画をもう一度最初から見てみて、気がつきました。

審査員と観客は、目的語を叫んでくれていたのでは?

登場時、安村さんははっきりと“I’m wearing pants.”と言っています。主語と動詞、目的語もある、正しい構文です。

しかし、決め台詞になると、pantsを省略し“I’m wearing.”だけになります。

日本語は主語や目的語を省略することがよくありますが、基本的に英語は省略しません(友達と話しているとか、フランクな時は省略するかもしれませんが)。なので目的語のない“I’m wearing.”では、文章が不完全で「なにをwearingしているの?」と思わせてしまいます。

しかし、安村さんは登場時に一度ハッキリ“I’m wearing pants.”と言っていることで、「あ、パンツか!」と会場中が思い出し、結果観客・審査員が“pants!”と叫んだのではないでしょうか。

歌手が、コンサートで、サビの部分をあえて歌わずに、客席の方にマイクを向ける、1番いいところを歌わせてあげるよ、というあの感じが会場中に生まれたのだと思います。

足りない目的語を、会場のみんなが叫んでくれる。

「俺は履いてるぜ〜」「パンツを!」というコールアンドレスポンスのおかげで、最終的には観客も審査員も総立ちになるという大盛り上がりになったのでしょう。

単に「履いてますよ」の直訳で“I’m wearing.”と言ったのだと考えることもできますが、最初に“I’m wearing pants.”と正解の構文を言っているのは、このコールアンドレスポンスを引き出すためのトリックな気がします。

「裸に見えるポーズ」が面白いのは世界共通、言語は関係ありませんが、なんとなくこのあたりの誘導は、英語ならではの特徴を考えていたのではないかなぁと勝手に思っています。

「Britain's Got Talent」の公式YouTubeでは安村さんの紹介コメントをこう書いていました。

He brought confidence, comedy and luckily his pants! Tonikaku had us crackin' up from start to finish with his brilliant audition.

(彼は、自信と笑い、そして幸運なことにパンツを持ってきた! トニカクは最初から最後まで私たちを爆笑させ、オーディションを成功させた。)

ここでも、luckily his pantsと「こいつはパンツを履いているぜ」的な紹介がされていて、「パンツ」という目的語がフューチャーされています。

動詞crack upの意味とは?

ちなみにcrack upという動詞の意味がわからなかったので、辞書をひいてみたらこういうことでした。

to suddenly laugh a lot, or to make someone suddenly laugh a lot
(突然にすごく笑うこと、または突然に誰かをすごく笑わせること)

なので、まさにこの場合は、「一瞬で会場を大爆笑に巻き込んだ」ということでしょう。

今後も、
“I’m wearing!” 
“Pants!”
のコールアンドレスポンスをぜひ世界中で聞けることを楽しみにしています。

過去連載記事

連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者による英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。

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英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」

英語力ゼロのまま渡英、行けばなんとかなると思いつつなんともならなかった2年間のイギリス生活。帰国後はせっかく覚えたいくつかの英単語も忘れ去り、それでも時々は英語と格闘してみる現在、40歳。いつかはうまくなりたいから、恥を忍んで今日もブロークンイングリッシュ。下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。

TEXT=MOMOKO YASUI

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