35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第191回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
パンはパンでも、食べられないパンってな〜んだ?
英語の勉強をすっかりサボっています。たまにやる気になっても、難しい文章は読めないので、子供向けの短い文章を読むことにしています。さすがにそれなら読めるだろうと思うのですが、実際はわからないフレーズや表現がたくさん出てきます。
先日見つけたのは、「The Compassionate Thief(思いやりのある泥棒)」という物語でした。長年泥棒をやってきたRaviという男が、道で出会った貧しい人を見て、同情して盗んだ金をあげる、という話です。
One day, as he was walking through the market, he saw a poor man struggling to buy food for his family. The man had tears in his eyes, and Ravi felt a pang of sympathy.
(ある日、彼は市場を歩いていて、家族の食料を買うのに苦しんでいる貧しい男を見た。その男は目に涙を溜めていて、ジョンは同情のpangを感じた)
わからないのは、felt a pang of sympathyのところです。pangなので「パン」に、聞こえるか聞こえないかぐらいの「グ」をつけて発音するのでしょう。
そしてsympathyは同情とか憐れみという意味ですから、「同情のパンを感じた」ということになります。しかし同情のパンってなんでしょうか。
ふと、先日最終回を迎えた「タモリ倶楽部」の「空耳アワー」に紹介されていた、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの「ボムトラック」という曲の空耳を思い出しました。
“Burn burn yes ya gonna burn“という歌詞が「パン パン 夜食のパン」と聞こえる、という投稿です。「Burn(バーン)」なのに、「パン」に聞こえて爆笑してしまったのですが、こっちのパンはなんなのでしょう。
a pang of sympathy=同情の痛み
ケンブリッジの英英辞典にはこう載っていました。
Pang =a sudden sharp feeling, especially of painful emotion
(突然の鋭い感覚、特に痛みを伴う感情)
ということは、a pang of sympathyは「同情の痛み」、つまり、「かわいそうで胸が痛くなった」ということなのでしょうか。
いくつかの辞書には、例文としてa pang of jealousyとか、a pang of remorseと出ていました。嫉妬の鋭い痛み、後悔の鋭い痛み、ということです。
一応「突然の痛み」「鋭い痛み」なので、身体的なことにも使えるようですが、よく一緒に使われているのはhunger(飢え)とか thirst(渇き)といった単語が多いようで、主には感情につくみたいです。
マッカランの英英辞典には2つの例文が出ていました。
But suddenly he felt a pang of hunger, got the box out of his satchel and opened it up.
(しかし彼は突然空腹の痛みを感じ、箱から鞄を取り出して、開けた。)
突然お腹が空いて、鞄に入っていたお菓子かなんかを出したのでしょうか。
Her tears and sorrow looked so realistic that I almost felt a pang of remorse.
(彼女の涙と悲しみは、まるで本物のようで、私はほとんど罪悪感の痛みを感じたくらいだ)
演技が素晴らしすぎて、相手役の人が本当に彼女を悲しませてしまったのかと思うほどだった、ということかもしれません。
痛みを感じるほどの感情、というのは日頃なかなか経験しないかもしれませんが、泥棒を改心させるきっかけとなったので、単にsympathy(同情) と書くよりもa pang of sympathyの方がこの物語には的確なのかもしれません。
「The Compassionate Thief(思いやりのある泥棒)」は盗んだ金を、貧しい男にあげたRaviがそこから改心し、警察と協力して犯罪撲滅のために動き、人々の信頼を得た、というお話でした。
そのストーリーはこう締めくくられています。
The moral of the story is that it's never too late to change. No matter how bad a person's actions may have been, they can always choose to do the right thing and make a positive impact on the world.
(このストーリーが示したい道徳は、どんなにその人の行いが悪くても、変わるのに遅すぎるなんてことはないということ。いつでも正しいことを選び、前向きな印象を世界に与えることはできるのです)
どんなに今、英語の成績が悪くても、勉強を始めるのに遅すぎることはない、と信じて頑張りたいと思いました。問題は、始めても続かないことなんですけど。
※「The Compassionate Thief 」出典 @Englishforcareer24
連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者による英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。