MAGAZINE &
SALON MEMBERMAGAZINE &
SALON MEMBER
仕事が楽しければ
人生も愉しい

AND MORE

2023.04.06

デザインの“負の側面”に迫った、貴重な一冊『戦争とデザイン』

ゲーテ読者に薦めたいとっておきの1冊をピックアップ! 今回は、戦争とデザインの関係をさまざまな事例をもとに解説する、『戦争とデザイン』をご紹介。

『戦争とデザイン』
松田行正 著 左右社 ¥2,750

第一次世界大戦、ナチス、ウクライナ侵攻……デザインが狂わせる世界の均衡

本書は戦争におけるデザインを通じて、通常ポジティブに語られることが多いデザインの"負の側面"を提示する。近代戦争は国家間の情報戦争だとも言われるが、その情報を効率的かつ効果的に社会に伝播する手法のひとつが、デザインだ。

例えば、1917年のロシア革命。革命を主導したレーニン率いる左派・ボルシェヴィキは赤旗を掲揚(けいよう)し、反革命派との戦いを繰り広げる一方で、当時のロシア農民の識字率は極めて低かったこともあり、その事態を把握していない人々も多かったという。新しくできたボルシェヴィキ政府は民衆に対して革命の正当性を主張するプロパガンダを、テキストに頼らないビジュアルの形で示す必要があった。

そうしたなか、グラフィックデザイナーのエル・リシツキーは、プロパガンダ・ポスター「赤い楔で白を穿て」を制作。敵と味方を色という図式的記号に置き換えたシンプルな視覚表現は、文字を読めない農民に届く最適な方法として広く機能したのである。

よくも悪くも、デザインには社会を変える力がある。デザインを生業にする私としても、多くの人が負の側面も含めてデザインのことを理解し、上手に活用してほしいと思う。

Seitaro Yamazaki
1982年神奈川県生まれ。セイタロウデザイン代表。「社会はデザインで変えられる」という信念のもと、デザインブランディングを中心に多様なチャネルのアートディレクションを手がける。

TEXT=山崎晴太郎

PICK UP

STORY 連載

MAGAZINE 最新号

2024年5月号

ゴッドハンド

ゲーテ5月号表紙

最新号を見る

定期購読はこちら

MAGAZINE 最新号

2024年5月号

ゴッドハンド

仕事に遊びに一切妥協できない男たちが、人生を謳歌するためのライフスタイル誌『ゲーテ5月号』が3月25日に発売となる。成功者たちを支える“神の一手”を総力取材。すべてのパフォーマンスを上げるために必要な究極の技がここに。ファッション特集は、“刺激のある服”にフォーカス。トレンドに左右されない、アートのようなアイテムが登場。表紙は、俳優・山下智久。

最新号を購入する

電子版も発売中!

定期購読はこちら

SALON MEMBER ゲーテサロン

会員登録をすると、エクスクルーシブなイベントの数々や、スペシャルなプレゼント情報へアクセスが可能に。会員の皆様に、非日常な体験ができる機会をご提供します。

SALON MEMBERになる