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2022.11.01

SF入門に最適! 累計発行部数2900万部超えの天才SF作家の最新作

読者に薦めたいとっておきの1冊を、京大卒のオタク女子・三宅香帆が毎月ピックアップ! 今回は、『流浪地球(るろうちきゅう)』をご紹介。天才SF作家が描く圧倒的スケールの短編集とは。

京大卒オタク女子も激推しする、天才SF作家の短編集!

全世界での累計発行部数はなんと2900万部超え! オバマ元大統領をはじめ、多くの文化人、著名人のファンも多い中国のSF小説『三体』シリーズ。その著者・劉慈欣(リュウジキン)氏による短編集が、2冊同時に発売された。

そのひとつである本書『流浪地球』には6つの短篇小説が収録されているが、どの作品も壮大なアイデアに驚かされ、かつ切れ味鋭く読み応えのあるものばかりだ。

地球の自転が止まった世界で生きる少年の旅を描いた表題作の「流浪地球」、地球を捕食しようとする宇宙人がやってくる「呑食者」、高層ビルの清掃員とアカデミックに生きる研究者が出会いとあるプロジェクトに参加する「中国太陽」など、その設定は実に多種多様。

そのなかでも秀逸だったのが、失恋した女性が作りだしてしまったコンピュータ・ウイルスが瞬く間に世界を変えてしまう「呪い5・0」。作者自身が登場し、ユーモア溢れる展開で読者を笑わせてくれる。

SFというと設定が小難しく、とっつきにくいというイメージを抱いている人もいるかもしれない。しかし、この短編集を読み、劉慈欣氏の圧倒的な才能に触れてみれば、その印象が変わるに違いない。

『流浪地球』
劉 慈欣 著、大森 望、古市雅子 訳/KADOKAWA ¥2,200

Kaho Miyake
1994年高知県生まれ。書評家、作家。京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。著書に『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』『女の子の謎を解く』等がある。

TEXT=三宅香帆

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