35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者による英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」第153回。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。【過去の連載記事】
Under the weatherってなに? 天気の下じゃないの?
私が日本語を教え、向こうが私に英語を教える「ランゲージエクスチェンジ(言語交換)」をオンラインでイギリス人としています。話す約束はするもののお互い急な仕事が入ることが多く、ここ最近ドタキャンが続いています。4回ほどキャンセルが続き、お互い気まずくなってきたところで、向こうからこんなメッセージが来ました。
Today, I'm feeling a bit under the weather.
「今日、少し天気の下を感じている」
直訳したらこうなりました。さっぱり意味がわかりません。というか、日本語ペラペラなのにあえてこういうわからない英語で送ってくるあたり、挑戦的です。
しばらく既読無視していたら、その後、「今日の授業できない」と日本語で来ました。
under the weather=体調が悪い
という意味だそうです。「今日なんか体調が悪い」と1通目で送ってきて、「だからキャンセルで」と2通目を送ってきたということなのでしょう。私が理解できないと思って、あえて英語で1通目を送ったのかと思うと少し腹立たしいですが、ランゲージエクスチェンジらしく、新しいフレーズが覚えられたのでよしとします。
もともと船乗りの時代、航海中に体調が悪くなった人を、甲板の下に移していたことから、“under the weather=体調が悪い”ということになったそうです。太陽に一枚甲板を挟んで、「お天気の下」ということでしょう。
昔の船乗りたちは主に船の上で、太陽と潮風にさらされて働いていましたから、熱中症などで体調が悪くなって、日差しの当たらない甲板の下に行く、ということなのでしょうか。
ちなみに、“under the weather”の反対の意味に当たるのが“in the pink”というフレーズだそうです。こんな例文を発見しました。
Understanding the difference in dog health symptoms can help you distinguish when your pet is "in the pink" and when he's feeling under the weather.
「犬の症状・健康状態の違いを理解すると、ペットの犬が元気な時と、具合が悪い時とを見分けることができるようになる」
ということだそうです。元気だと顔色がよく、顔がピンクがかって見えるからかどうかはわかりません。
お互いキャンセルが続き、イライラしているので皮肉のつもりで、私は日本語でこうメッセージを送りました。
「君はアンダー ザ ウェザーでも、私はイン ザ ピンクだけどな」
意味が伝わりずらいバージョンの、ルー大柴さんみたいになってしまいました。ちなみに相手は、アンダー ザ ウェザー=under the weather イン ザ ピンク=in the pinkであることを理解するのにかなり時間がかかったそうです。カタカナ英語は日本語を学ぶ外国人にとって、場合によっては漢字より理解するのが難しいそうです。
レッスンはできなかったけれど、お互い良い言語交換になったと思います。
Illustration=Norio