35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」第147回!
衝突注意! 知っておくと身を守れる!? Cornerの意味
先日久しぶりのアメリカ出張で、あるレストランを取材しました。
開店前の時間に取材をさせていただいたので、お店の中では、スタッフの方達がバタバタと営業の準備をしています。店の隅で迷惑にならないようにお料理の撮影をしていたところ、店の奥からこんな声が聞こえてきました。
Corner!
多分、「コーナー」と言っているのだと思います。それも1度ではなく、何回も「コーナー!」という大声が聞こえてきます。
お惣菜コーナーとかの「コーナー」でしょうか。
撮影の合間に声のする方を覗いてみると。
そこは厨房と客席の間、ちょうど角になっている場所でした。客席から角を曲がると厨房に入れるようですが、スピードをつけて歩いていると、厨房から出てきた人とぶつかってしまいそうな狭い場所でした。
「コーナー!」
その角にさしかかる少し前から、厨房に入ろうとする人が大きな声を出しました。
声を出している男性は、料理の仕込み中なのでしょうか、スープの入った大きなボウルを持っています。
ここで、やっと意味がわかりました。この男性はここで「コーナー!」と言わなければ、角を曲がってくる誰かとぶつかってスープをぶちまけることは明らかだからです。
Corner=「曲がりまーす」
Cornerは「角」という意味の名詞、あるいはこの場合は「曲がる」という動詞として使われているのだと思われます。「曲がりまーす」と角で死角になっているエリアにいる人たちに伝え、衝突を避けているのでしょう。
きっと過去ここで何度も、角から出てくる人と衝突してスープをぶちまけてきた人がいたはずです。その店ではその角を曲がる際は必ず「コーナー!」と言うルールになっているようでした。
そういえば同じようなことがあったことをふと思い出しました。大昔、居酒屋チェーン店でバイトをしていた際、作業をしている人の後ろを通る際は必ず「後ろ通りまーす」と言わないといけない、というルールがありました。後ろの人に気づかずぶつかって、運んでいるお皿をぶちまけるのを避けるためでした。ちなみに声が小さい私は、気づかれず何度もぶちまけました。
曲がり角では「Corner!」の声が聞こえたら要注意。ここで気がつかなければ「Corner!」と言われているにもかかわらず「お惣菜コーナー?」などと疑問に思いながら、いつか誰かと正面衝突することになっていたかもしれません。ちなみに「お惣菜コーナー」の「コーナー」はカタカナ英語で、実際は通じないそうです。その場合は「お惣菜section(セクション)」と言わないといけないよう。
ちなみに、Cornerが入ったイディオムとして
Just around the corner
というフレーズをよく聞いたことがあると思います。
There is a great restaurant just around the corner.
素晴らしいレストランが近くにある
ということですが、私はずっとこのフレーズを文字通り「そこの角を曲がったところに素晴らしいレストランがある」という意味だと思い込んでいました。
もちろん意味は間違っていないのですが、これはひとつの表現方法なので、必ずしも角を曲がる必要はなく、「本当にすぐ近くに」というニュアンスで使われているそうです。また地理の話でなくてもこのように使えるそう。
Good times are around the corner.
「いい時は、もうすぐやってくるよ」
ということだそうです。今は向こう側の角にいるから見えないけど、すぐ近くまで幸運は来ているよ、みたいなニュアンスでしょうか。
もっと以前のように自由に海外旅行・海外出張ができるようになる日が、角を曲がったすぐそこに、来ているといいなと、今は願っています。
Illustration=Norio