35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる!下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」第127回!
think twice=躊躇する
年末はNetflixざんまいで過ごしましたが、中でもドキュメンタリー『オクトパスの神秘:海の賢者は語る』が衝撃でした。海で出会ったメスのタコに恋をしたカメラマンが、毎日タコに会いに海に潜って1年、最後はタコが弱って捕食されるまでを撮影しています。タコは大変知能が高いそうで、人を覚えて懐いたりもするのだそうです。
オンラインの英語教師が『イカゲーム』見たか、と何度も聞いてくるので
「今はイカよりタコだ」とこの内容を説明したところ。
こう言われました。
It makes you think twice about eating them.
「それは、お前に2度タコを食べることを考えさせる」
直訳するとこうなってしまうので、意味がわからずフリーズしてしまったのですが、よく考えればこういうことでした。
think twice=躊躇する
「二度考える」なのでつまり「よく考える」ということになるのでしょうが、ここでは「二度考える」=「躊躇する」という意味になり「そんな映画観たら、タコ食べる時躊躇しちゃうね」というニュアンスになったのだと思われます。
そういえば、よく語学学校や、なにかの説明会ではこういうふうに言われていました。
Please don’t think twice about asking me whenever you have questions,
これは「質問があればいつでも躊躇なく聞いてください」ということなのでしょう。“Please don’t hesitate”というのがよく言われる「遠慮しないで」ですが、たまにこういう応用篇も聞いた気がします。
そういえばボブ・ディランに「Don’t think twice, It’s all right」という曲がありました。この曲の邦題は「クヨクヨするなよ」ですから、「躊躇」とはちょっと違うでしょうが、二度も三度も考える=クヨクヨすると考えられるでしょう。
2021年のアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞したこの『オクトパスの神秘:海の賢者は語る』、英語教師の言った通り、ペットのように人になつくタコを見たら、もうあまり食べたいとおもわなくなってしまいました。いや、食べたら美味しいのはわかっているのですが、以来スーパーで見かけると“think twice”してしまうのです。
たこの吸盤を英語で言える!?
Netflixは、英語字幕を表示できるので英語の勉強には最適です。
会話劇や、入り組んだサスペンスだと英語字幕でも時間がかかりますが、こういう作品はタコが主役の作品なので会話も少なく難易度も低いです。
とはいえ、「タコの吸盤」すら英語で説明できず、先生に「ほら、あの足についてる丸いやつ」とジェスチャーを交えながら話すと
「ああ、suckerな」と言われました。
「サッカー!? なんでいまサッカーの話を!?」と非常に混乱しましたが「吸う」という動詞“suck”を名詞にして「吸い付くもの」で“sucker(サッカー)” つまり吸盤でした。
タコとの会話くらい、英語でもわかるだろうと思っていたのですが、実は全編ただただ雰囲気で見てわかった気になっていたようです。週末にもう一度英語字幕で見てみようと思っています。
Illustration=Norio