35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる!下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。英語力ゼロレッスン「人のEnglishを笑うな」第120回!
「もれる〜!」を英語で言えると便利!
イギリスにいた短い間、トイレ問題は切実でした。
日本では、駅や商業施設などで簡単にトイレを見つけられますが、慣れないロンドンの地下鉄ではなかなか見つけにくく、「トイレはどこですか?」と駅員さんにいちいち聞かなければなりませんでした。ただでさえ英語を使うことに緊張しているのに、トイレに行きたいという切羽詰まった状態でのやりとりはなかなかハードでした。また見つけられてもたいていは有料なので、財布から小銭を探さないとなりません。キャッシュレスが当たり前のイギリスの生活では、持ち合わせていないことも多いですし、そもそも外国の通貨にも慣れていないので、財布の中を探してもたつくのが非常にストレスでした。
ある日はやっとの思いで「トイレはどこですか?」と駅員に聞いたのに「え〜っとねぇ、あっちのは遠いから〜ええっと〜むしろ次の駅で〜」とでも言っているのか、なかなか道筋を教えてもらえないこともありました。
そんな悩みを英語教師に相談したら、このフレーズを教えてくれました。
I'm bursting!
「こう言えば、みんなすぐ、わかりやすくジェスチャーで教えてくれるわよ」と先生は笑っていました。
よく意味がわかりませんでしたが、さっそくその日に使ってみました。
Could you tell me where is loo? I’m bursting!
(トイレはどこか教えてくれませんか?I’m burstingです!)
イギリスではトイレのことを“loo(ルー)”というのは覚えていました。たいていは“toilet”でもいいのですが、場所によっては、看板に“toilet”ではなくて“loo”と書かれていることがあるので覚えておかないと、トイレを目の前にしても気づけない場合があるからです。
この私のお尋ねを聞いて駅員は、驚いた顔をして、“Up stair, the left side of ticket gate! (上にあがって、改札の左側)”と、ジェスチャー込みで、とてもわかりやすく教えてくれました。また去り際に「50ペンス用意しな!」と、丁寧に金額まで教えてくれました。エレベーターに乗っている間にポケットから小銭を探しておけたので、非常にスムーズに用をたせました。
I’m bursting=もう、もれそうです
という意味でした。“burst”とは破裂する、という動詞ですので、破裂寸前の膀胱がイメージできるフレーズです。考えてみれば、外国人の方がカタコトで「トイレドコ?モレソウ」と聞いてきたら、一刻も早く教えて差し上げないと、という気になるでしょう。この駅員さんもそうだったに違いありません。
I’m bursting!でも意味が違う!?
切羽詰まり具合を表現できる非常にいいフレーズを教えてもらったと思って喜んでいたある日、あるレストランで再びこのフレーズに出会うことになりました。
仕事関係のちょっとした会食で、世界各国の人もいらしている場でした。英語が下手でも別に誰も気にしなかったので、カタコトでかわしながら、美味しい料理をご馳走になっていました。デザートまでいただいた時、先方の1人がこう言いました。
It was nice! I’m bursting!
覚えたての“I’m bursting!”です。これは大変と、“Loo is there!(トイレあっち!)”と指差して言ったら爆笑されました。
“I’m bursting!”を食事の後に言った場合は「お腹いっぱい!」という意味になるということでした。「ふ〜。美味しかった。食べすぎてお腹が破裂しそう〜」という意味合いでその方は言っていたようです。
「破裂しそう」ということなので、お腹や膀胱だけでなく、ひとつことに夢中で「頭が破裂しそう!」というようにも使えるのだそうです。非常に便利なフレーズですが、使う場所と、前後のフレーズによって意味を変えるので要注意でした。
Illustration=Norio