新型コロナウイルスにより、多くの人がお金について真剣に考えたはずだ。先行きが見えないなかで、今後どうお金と付き合い、増やしていけばいいのか。この連載では、お金のトレーニングスタジオ「ABCash」を運営する児玉隆洋氏が、コロナ後のお金と資産運用についてレクチャー。お金とは何か、投資とは何かを考える。 アフターコロナのお金論31回。
コインベースと提携した日本の銀行とは?
2021年4月、アメリカの暗号資産(仮想通貨)取引所として、初めての株式上場を果たしたコインベース。そのコインベースが2021年8月、ついに日本市場に本格参入しました。
コインベースはフィンテック領域を中心に、現在世界中から注目されている暗号資産取引所です。ニューヨークのNASDAQ市場に上場して、100カ国以上で、6800万人以上にサービスを提供しています。
日本ではビットフライヤーを始め約30社の暗号資産業者が取引をしており、今後ますますその競争の激化も見込まれております。日本のコインベースでは、主要な暗号資産であるビットコイン、イーサリアム、ライトコイン、ビットコインキャッシュ、ステラーの売買を可能としており、今後さらに取り扱いも増やしていく計画です。
それではお金のトレーニング。グローバル版でも提供されている「コインベース・アーン(Earn)」ですが、そのキャンペーンを日本でも提供開始されました。新しいサービス機能として注目されている、そのコインベース・アーンとはどのようなサービスでしょうか?
答えは、暗号資産に関する動画を視聴したりクイズに答えることで、コインベースのウォレットに勉強し終わった暗号資産が入金されるという学習促進サービスです。
活用することで、暗号資産の特徴やポイントやファンダメンタルズの学習になるのです。今まで日本の企業ではなかった機能で、知識をつけることで投資家としての基礎能力が上がっていく仕組みとして導入推進されています。また、コインベースが日本進出するにあたり、日本のメガバンクが提携先となり話題になりました。
それではお金のトレーニング。コインベースの提携先になった日本のメガバンクはどこでしょうか?
答えは、三菱UFJ銀行です。三菱UFJ銀行の口座では、クイック入金が可能になります。クイック入金とは、即時に取引口座への反映が可能な入金のことです。これによりコインベースのサイト上で、口座登録、入金、送金をシームレスに行うことができます。また、このクイック入金の手数料は無料となります。
日本の銀行のリーディングカンパニーである三菱UFJ銀行、その銀行と提携することでコインベースは日本の暗号資産のインフラ整備を加速していく狙いがあります。日本ではまだ一般的ではありませんが、アメリカやヨーロッパでは既に、機関投資家や大手企業が暗号資産投資を始めています。そして日本でもその流れが本格化した時には、多くの企業の銀行口座を所有する三菱UFJ銀行がその窓口となる可能性が高いのです。
もうひとつ、お金のトレーニング。リスクの高さも指摘されることの多い暗号資産取引所ですが、コインベースはなぜ投資家から信頼度が高いのでしょうか?
まずコインベースがこれまでハッキングされた実績がないことがあげられます。コインベースは利用ユーザーに暗号資産を安心して運用できるシステムを整えていますので、この点が投資家からの信頼につながっているのです。また、コインベースがサービスを日本で展開する上で、法律の観点も大きなハードルになりましたが、コインベースは金融庁と数年に渡る協議をしっかり行って、その結果日本への進出をついに実現したのです。
コインベースは2012年の設立。そこからずっと、暗号資産を世界に広めるプラットフォームを目指し、「最も信頼されること」「最も使い勝手が良いこと」を戦略の柱として掲げています。
またコインベースProは2021年9月1日に、3銘柄の新規上場も発表しました。新たに取り扱う対象は、DerivaDAO、DFI.money、Radicleの3つとなり、口座への入金はすでに開始しており、取引が今月1日から始まりました。
フィンテック業界で世界中から大注目のコインベース。暗号資産という部分ももちろんですが、取引だけを行うプラットフォームではなく、ユーザーの視点にたった機能として、「暗号資産リテラシー」を習得できるサービス機能を搭載していることも、アフターコロナ時代の新しい資産運用サービスの形なのだと思います。
例えばサッカーを始めるときに、サッカーのルール、怪我のリスク、試合前の練習方法など、サッカーの基礎リテラシーを学ぶことなくいきなり試合にでて、すぐ活躍できるサッカープレイヤーは少ないのではないでしょうか。むしろ、無知がゆえに無謀なプレーをして怪我をして途中退場になる可能性もあります。
サッカーのようなスポーツでも資産運用でも、正しい基礎リテラシーを身につけてしっかり準備して、それからプレーを開始することが、「個」の時代で自分自身を守ることにつながるのです。
Takahiro Kodama
1983年宮崎県生まれ。大学卒業後、サイバーエージェントに入社。Amebaブログ事業部長、AbemaTV広告開発局長を歴任。2018年、海外に比べて遅れている日本の金融教育の必要性を強く感じ、株式会社ABCashTechnologiesを設立。代表取締役社長に就任。2019年、すごいベンチャー100受賞、スタートアップピッチファイナル金賞。趣味はサーフィン。
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