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2021.09.04

デビューは秋以降に決定! ゲーテ号の競走馬としての可能性

競走馬の「馬名」は、誰が、どのようにして決めているのか? 2020年秋、編集部は、馬主・松島正昭氏と武豊騎手による凱旋門賞壮行会の席に偶然同席。その際に、文豪ゲーテの人生訓と、その名を冠した雑誌のコンセプトに共感した松島オーナーの意向で、期待のディープインパクト産駒(牡馬)の馬名がゲーテ号に決定した。隔月連載でデビューまでの道のりを追う。

走れ!ゲーテ号

7月10日には、坂路で「13秒5 、12秒7 、12秒7 」という好タイムを叩きだすなど順調な仕上がり。

父はディープインパクト、母はプラスヴァンドーム。ゲーテ号は生まれ故郷の北海道で鍛錬中

今夏デビューに向けて滋賀県の栗東(りっとう)トレーニングセンターで調整していたゲーテ号。無事にゲート試験を一発で通過したものの、「ヒンヒン鳴いて幼く感じられたので、夏の間は無理せずメンタル面の成長を促して秋からレースに使いたい」という武幸四郎調教師の判断によって、時間と手間をかけてじっくりと育てる方針へと変更となった。

夏バテを回避できる涼しい環境を求めて、宮城県・山元トレーニングセンターを経由し、6月中旬から北海道・社台ファームで過ごしている。生誕時から今春まで2年近く滞在した生まれ故郷で、競走馬になるための鍛錬をもう一度行うことになったのだった。

武調教師が言う「メンタル面」とは、レース本番でいかに持っている自らの能力を発揮できるかということ。ゲーテ号の父は、誰もが知るあのディープインパクト。母のプラスヴァンドームも、2番仔がフランスG1を勝利するなど繁殖牝馬としての実績を持つ。まさに良血馬であり、潜在能力は関わる誰もが認めているが、それを本番のレースで出せるかどうかは未知数。どんなによき血が流れていても、勝負に対する根性がなければ、レースで勝つことはできない。なぜなら、億を超える価値を持つ「走らなかった競走馬」は、ざらにいるのである。

和やかな表情を浮かべるゲーテ号

トレーニングを終え、和やかな表情を浮かべるゲーテ号。

社台ファームでゲーテ号は、週4回は坂路に入り、そのうちの1回は通常より速いタイムで走るメニューをこなしているという。7月に入り、坂路でデビュー前の2歳馬としては上位レベルとなる12秒台後半〜13秒台前半のタイムを連発。育成担当者の長浜卓也氏は「こういった記録をコンスタントに出しており、順調です。タイトなペースで乗り続けることで集中力の持続と、体幹強化に主眼を置いた調整メニューをこなしています。調教本数に比例して四肢の可動域が広がってきて、フォームに伸びやかさが出てきています」と、その成長ぶりを説明した。

長浜氏は今後の課題について「相手に合わせて走る面があるので、もう少し自ら出ていくような積極性が欲しいところです」と明かしつつ、競走馬としての可能性について、こう続ける。

「坂路では、どんな強い相手と併せても遅れることはないので、脚力自体は高いレベルにあると感じています。まだ目いっぱいに仕上がっていない状態でこれだけ速い調教メニューをこなせているわけですから、すべてが我々の理想どおりに噛み合った時に実戦でどこまで突き抜けてくれるのか、楽しみは尽きません。身体ももうひと絞りできそうな余裕があるので、締めこんでいきます」

同世代の馬が次々とデビューを果たし、2022年のクラシック戦線に向けて名乗りを上げ始めているなか、広大なる北の大地で心身を鍛えなおす良血馬。地道な日々を過ごし、ひと夏を越した暁には、いったいどんな成長を遂げているのだろうか。焦らず、本物の強さを手に入れ、走れ、ゲーテ号!

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TEXT=鈴木 悟(編集部)

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