35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。英語力ゼロレッスン「人のEnglishを笑うな」第106回!
ロンドンに住む人は「ロンドナー」、ニューヨークなら「ニューヨーカー」
では東京は?
東京オリンピックがついに開幕し、海外メディアはどう報じているのか、気になっていくつか海外の雑誌などを見てみました。さまざまな報道がありますが、雑誌「エコノミスト」の記事で、おもしろい表現を見つけました。
Tokyoites have been asked to enjoy the games on TV from their home.
「Tokyoiteたちは、ゲームを家のテレビから見るようにいわれている」ということです。文脈からなんとなく想像はできますが、このTokyoiteという初めて見た単語に目から鱗でした。
ロンドン生まれの「ロンドナー」、ニューヨークで働く「ニューヨーカー」、ハワイ育ちの「ハワイアン」など、その街で暮らす人のことを言い表す単語は世界の主要都市ありますが、その東京バージョンが“Tokyoite”なのだそうです(「トーキョーアイト」と読むそうです、複数形だと「トーキョーアイツ」になります)。
実際は「ロンドナー」とか、「ニューヨーカー」に比べて知名度が低い言葉なので、日本についてある程度知っている人でないと、通じないかもしれません。しかし「エコノミスト」の記事は、東京オリンピックのことを書いてるわけですから、この単語を知らなくても読者は文脈から理解できるでしょう。文脈によっては有効な単語です。
ちなみに、名古屋人をNagoyan(ナゴヤン)、沖縄人はOkinawan(オキナワン)、大阪人もOsakan(オオサカン)ともいうそうです。これこそ、日本の地理と、日本そのものに詳しい人でないと使わないでしょう。しかし「ナゴヤンにはオキナワンの気持ちはわからないよ」とか、国内でカタカナ語として使っていくと、ちょっとかわいいな、なんて思ってしまいました。
現在、長期で取材をしている経営者の方がよくおっしゃっているのが「英単語を覚えたければ、ただ覚えるのではなくて、記憶と結びつけなさい」ということです。
確かに、海外で失敗しながら覚えた単語や、映画の印象的なシーンで使われていたフレーズは、ただ心の中で唱えて覚えただけの単語とは違って忘れにくい気がします。「あの人が言っていたな」「この話をした時、寒かったな」とかストーリーや五感と結びつけるとより忘れにくいのだそうです。
そして、最近がっちりと私の記憶に結びついた単語は、こちらでした。
Solidarity
オリンピックの開会式で、トーマス・バッハIOC代表が繰り返し言っていた言葉です。
数えてみたら、約13分のスピーチの中で、15回近く言っていました。しかも大切な言葉なので、強調しながら言うので、とても印象的でしたね。
同時通訳では、「連帯」と訳されていた通り、グループの中の人々が支え合う様子を言う名詞です。「団結」という表現も近いかもしれません。バッハ会長はこう言っていました。
We need more solidarity. More solidarity among societies and more solidarity within societies.
(社会間での連帯、そして社会の中でのいっそうの連帯が必要です)
Solidarity means much more than just respect or non-discrimination.
(連帯とは、相手を尊重したり、差別がない、ということ以上のものです)
Solidarity means helping. Sharing. Caring.
(連帯とは、助け合い、分かち合い、思いやることです)
日常生活ではあまり使わない言葉なので、これまで、新聞や雑誌、参考書などで見つける度に「あ、これ習ったけどなんだったけ?」と幾度となく思った単語です。しかし今や、バッハ会長の声とともに覚えることができました。本オリンピック中にいくつ記憶と結びつく新しい単語があるか、楽しみです。
Illustration=Norio