「何かを始めるのに年齢は関係ない!」
内館牧子さんといえば、人気テレビドラマの脚本や旺盛な執筆活動に加え、女性初の横綱審議委員を務めるなど、精力的に生きる女性のお手本となるような方。ですが、主人公の夏江が発するのは「今度生まれたら、この人とは結婚しない」という、なんとも後ろ向きな言葉なのです。
エリート会社員だった男性と結婚して寿退社。専業主婦として、ふたりの息子を育て上げる。
傍から見れば不自由のない人生を送ってきた夏江ですが、70歳を迎え、「この人と結婚しなければ、別の人生があったのではないか」と呟きます。
なんだか自分の人生の責任を夫のせいにしているようで、正直、自立思考の私とは真逆の価値観を持った女性だなと思い、楽しく読めるかどうか不安にもなりました。
でも、「このまま終わりたくない」と強い危機感を持ち、己のやりたいことを貫いていく周囲の人たち(最低な選択をする人も)と触れ合いながら葛藤し、自分自身と対峙し続ける夏江の姿に、どんどんと引きこまれていきました。
人生に迷い、モヤモヤと悩んでいる人に「やりたいように勝負しろ!」と背中を押してくれる1冊です。
『今度生まれたら』
内館牧子 著
講談社¥1,600
Mayuko Saeki
ヴィエリス代表取締役。全身脱毛サロン「メンズキレイモ」等を60店舗以上展開。1600人の従業員とともに、SDGsの実現にも積極的に取り組む。移動時間はすべて読書に費やす読書家。