35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。「人のEnglishを笑うな」第69回!
“I agree with you” だけじゃない! 「賛成」を表す進化系フレーズ
ロンドンにいる友人たちのグループSNSに、帰国した今も入っています。仲間内の何人かはすでに自国に帰っており、さまざまな国の今の状況を知れることは興味深いことです。
ある時、「たまにはメッセージだけではなく、みんなでグループ会話をしよう」という提案がありました。それに対して、在英歴の長いポーランドの方がした返答が眼から鱗でした。
I’m down.
「ダウン」だから、疲れて寝てるってこと? 会話したくないってこと? と思ってしまいましたが、これはこういうことでした。
I’m down. = 賛成します
「そのアイデアに乗った!」という意味合いで、カジュアルな会話に使われることが多いようです。
「賛成!」は“I agree”以外の表現方法を知りませんでしたが、他にもさまざまな言い方があり、例えば「大賛成!」「それ最高!」という強い賛成を示す時にはこんな風に言えるそうです。
I couldn’t agree more.
「これ以上に賛成できないほどに賛成している」というニュアンスでしょうか。また会議などのビジネスシーンでは、このように「賛成」を表すことがあるようです。
second that
例えば、会議でこんな話が出た時。
I think we should postpone the project. (この計画は延期すべきだと思う)
I second that.(それに賛成です)
「セカンド」なので、二番目の、というイメージが強いですが、動詞になると「支持する」「賛同する」という意味になり、このように使えるそうです。
場面に応じて、さまざまな「賛成!」の言い方を使えるようになったらカッコいいなぁと憧れますが、もし、これらのうちどれか、使えるチャンスがあったら、言ったあときっとドヤ顔をしてしまうと思います。
Massage? Message? 似たような単語に大混乱
毎日英語に触れていると、膨大な量の単語やフレーズに出合うので、練習してもしても追いつかず、常に自信のない状態が続きます。しかし、英語に触れる頻度が減ると、自分がわかる文章しか読まず、言えることしか言わなくなるので、「あれ? 英語できるかも」と根拠のない自信がついてしまいます。これが、我々がよく陥る「日本人は意外と英語できる」「本気でやれば英語なんてすぐできる」という勘違いの正体なんだな、と勉強量が落ちてきているここ数ヵ月、感じています。
勉強量が落ちてくると、今まで注意していたスペルや発音を圧倒的ハイスピードで忘れます。最近は、massage(マッサージ)とmessage(メッセージ)の違いがわからなくなり、英文メールの返信でこう書いて笑われました。
Thank you for your massage.(マッサージしてくれてありがとう)
もちろん、「メッセージをくれてありがとう」と言いたかったわけです。
たった1文字間違えただけですが、致命的ミスです。
さらにはスペルも発音も同じなのに、意味が違う、という単語もあり(そのような単語をhomonymsというそうです。同音異義語のことでしょう)、注意しても意味がごっちゃになってわからなくなってきてしまう毎日です。
例えば、あの“I am fine”の“fine”にも同音異義語があります。
The baby"s head was covered in fine blond hair.(赤ん坊の頭は、fineなブロンドの髪の毛で覆われていた)
“I am fine”の“fine”なのですから、「いいブロンドの毛?」なんて思ってしまいましたが、
この場合は「細い」になります。また“fine”は名詞になると、「罰金」という意味もあります。
If found guilty, he faces six months in jail and a heavy fine.(もし有罪となれば、彼は6ヵ月の禁固刑と、重い罰金に直面する)
電車内でも、「無銭乗車は罰金をいただきます」という張り紙がよくあり、実は「罰金」は日常生活でも結構使用されます。“fine”の意味はどれも必須であるにもかかわらず、ぼーっと生きていると忘れてしまいがちで、毎日の積み重ねの大切さを実感しています。
MOMOKO YASUI
編集・ライター。1983年生まれ。男性ライフスタイル誌、美術誌、映画誌で計13年の編集職を経て2018年渡英、’20年帰国。