35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。「人のEnglishを笑うな」第62回!
「おつかれさま」って英語で言いたい!
「おつかれさま」。とっても便利な日本語です。誰かに会った時、さよならする時、1日何度この言葉を言っているかしれません。あまりに便利すぎて、英語でも同じような表現がないかと思っていた時、気がつきました。わりとみんな頻繁に
Good job!
と言っていることに。
学校で宿題を出した時、誰かの仕事を手伝った時。別にそんなに「いい仕事」でもないのに、よく言われました。私は勝手に「これが英語の“お疲れ様”なのでは?」と思い込んで、「お疲れ」のニュアンスで使うようになってしまいました。
しかし、帰国して、オンライン日本語教室でイギリス人の生徒さんと話していた時のことです。
「“Good job!”と言われて、イラっとする場合もけっこうありますよ」
流暢な日本語で言われました。じっさい文字通りの「よくやったね、よい仕事だね」という意味らしく、上司から部下へ、教師から生徒へ、またはとっても親しくてお互いの仕事をよく知っている間柄にのみ使っていい言葉だそうです。
「なにそれ、“ご苦労様”のほうの意味じゃん」
私は、“お疲れ様”だと思って、“ご苦労様”を言い続けていたことになります。なぜか上から目線の感じの悪い人だったということです。
ちなみに、外国人向けの日本語の教科書を見ると「おつかれさま」はこう説明されていました。
You must be tired after working so hard.(ritualistic expression)
そんなに一生懸命働いて、疲れたに違いない(形式的表現)
Thank you for your hard work
一生懸命働いてくれてありがとう
たしかに「おつかれさま」は、そういう意味ではありますが、しかし時には “こんにちは”くらいの意味でも使われます。英語でいえば“Hello”のかわりに“Thank you for your hard work”というのは不自然でしょう。長い道のりでしたが、「おつかれさま」は英語にはない表現である、ということがやっと実感としてわかりました。
ちなみに“Good job!”と同じくらいの頻度で“Well done! ”も聞きましたがこれも同じように「よくやった!」ということです。こちらの場合は何かを達成した時に、「おめでとう!」をつけて
Well done! Congratulations!
とも言ったりしますが、やっぱりこれも目上の人には言わない方がいい言葉なようです。
オーストラリア人のよく使う“Heaps”ってなんだ
帰国してもしばらくは自主隔離でしたので、その間に日本にいながらオンラインでオーストラリアの語学学校に入学しました。イギリスにいた時から、オーストラリア人の先生に英語を習っていましたし、なんといっても日本とオーストラリアは時差が1時間しかありません。日本時間朝8時から2時間レッスンを受けてもまだ午前10時、テレワークをしている方はうまくすれば仕事前に参加することもできるでしょう。これまで「仕事が忙しいから英語のクラスに通うなんて無理」なんて思っていましたが、やり方はいくらでもあったんだなぁ、と感じます。
オーストラリアに行ったことはないけれど、オーストラリア人としゃべったことがないわけではなかったので、あまり気負わずに参加したのですが。
オーストラリアにいるほかの生徒や、教師がよく使うこの言葉を理解するまでにずいぶん時間がかかりました。
Thanks heaps
“Thanks”と言っているのでお礼なんでしょうけど、「ヒープス」がなんのことかさっぱりです。時々先生は
Heaps good!
ともいいます。「あ、またヒープスだよ」と思うものの、あまりに自然に出てくるので質問もしずらく、ひっそり調べました。
Heaps =たくさん、すごく
という意味でこの場合使われているそうで、主にオーストラリアでよく言われるようです。“A lot”や“Very”に置き換えて使えるそうなので、
Thanks heaps = Thanks a lot
Heaps good = Very good
ということのようです。
1日2時間のオンライン留学は、通常の語学学校に行くよりはずいぶんと安い値段でできます。オンラインとはいえど、クラスメートと雑談もできますし、海外にいけない今だからこそ、いろいろな国に家から留学してみるのもありかもしれません。
MOMOKO YASUI
編集・ライター。1983年生まれ。男性ライフスタイル誌、美術誌、映画誌で計13年の編集職を経て2018年渡英、’20年帰国。