35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と日本人含め各国人からお叱りを受けつつ、覚えたフレーズの数々。下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。「人のEnglishを笑うな」第52回!
数の数え方を知る
オックスフォード大学で、日本語を学んだというイギリス人と会話をしていた時のことです。
「日本語は、鳥は"1羽"、本は"1冊"など、モノを数える時、名詞によって言い方を変えるから、覚えるのが本当に大変だった。最初は『これをすべて覚えるなんて、日本人は暇なのか?』ってイライラしたよ(笑)」
と流暢な日本語でおっしゃっていました。
普段私も、アルファベット通りに読まない単語や、発音が苦手が「R」や「W」が多く含まれた単語に出会う度に、「なんで英語ってこんなに変な言語なんだ!」と思いますので、その気持ちは本当によくわかります。
確かに英語の場合、「数の数え方」が日本語のように名詞によって変わることはあまりありません。
それでも、名詞によってそれぞれに覚えなくてはいけない「単位」はあります。
例えば「群れ・グループ」です。
flock of birds = 鳥の群れ
“flock(フロック)”は、「群れ」という名詞、または「群れる」という動詞なので “flock of birds”で「鳥の群れ」という意味になります。
しかし、実はこれ、動物によって言い方が違うので、それぞれに覚えておかないとなりません。
school of fish = 魚の群れ
pride of lions = ライオンの群れ
pack of wolves = オオカミの群れ
「ライオン」と「オオカミ」に関しては魚や鳥のように「大群」ではなく、数匹のグループという意味になります。
“school of fish”は直訳すると「魚の学校」ですから、なんともかわいらしいですが、「群れ」を意味するオランダの言葉“schole“がルーツにあり、やがて“school”に変化した、という説もあるそうです。ちなみに"fish"は羊の"sheep"同様、複数形も”fish"なので注意しなければなりません(厳密にいうと違う種類の魚をいう場合、”fishes”を使うこともあります)。
最初は日常ではあまり使わないかな、と思っていたのですが、本や映画などを見ていると結構出てくるので、覚えておいて損はない単位です。
「もふもふ」って英語で何ていう?
近所にとんでもなくふわふわのチャウチャウ犬が住んでいます。私の通学コースと彼の散歩コースが一緒だったので毎日会っていたのですが、出会って数ヵ月、初めてもふらせてもらった時の興奮は忘れません。「さわってみたいけど、飼い主とどうコミュニケーションをとればいいのだろう」とずっと躊躇していたからです。
触っていいですか? はわりとそのまま
“Can I touch him?“で通じるのですが、そのあとのやりとりが続かない気がしていたのです。
しかしチャウチャウ犬をもふっているうちに自然と、言葉が出てきました。
He is so fluffy!(この子、もふもふだわ!)
“fluffy”とはふわふわしたという意味の形容詞で、まさに「もふもふ」ということになります。
この場合の「ふわふわ」は羽のように物理的に「ふわふわ」したものに対して使っていますが、おもしろいのは、場合によっては日本語と同じように「ふわふわしていて真剣味がない」という意味にも使えます。
ケンブリッジの英英辞典にはこのような例文もありました。
They thought she was too fluffy to be a serious politician.(彼らは、彼女のことを、真面目な政治家であるには、あまりにふわふわとしすぎていると思っていた)
洋服屋さんや布団屋さんでも“I prefer fluffier one(もっとふわふわしたのが好みです)”と言っておけば、店員さんが次から次にもふもふした生地を持って来てくれます。海外で、犬猫をもふれない状態でも、この言葉さえ知っていれば「もふもふ不足」を解消できることと思います。
MOMOKO YASUI
ロンドン在住編集・ライター。1983年生まれ。男性ライフスタイル誌、美術誌、映画誌で計13年の編集職を経て2018年渡英。英語のプレスリリースを読むのに膨大な時間がかかって現在、仕事が非効率。