35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と日本人含め各国人からお叱りを受けつつ、覚えたフレーズの数々。下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。「人のEnglishを笑うな」第46回!
日常生活でもかなり使える言葉
ロックダウンから2週間、その間に時計を夏時間に変える「サマータイム」が始まり、陽がとても長くなりました。お天気もよく通常なら、上半身裸で公園に寝転ぶ人が続出する時期ですが、もちろん今はそんなことをしている人はいません。運動のために公園に行くことは許されていますが、園内を警察のクルマが走り、集団で集まっていないか、「運動」以外のレジャーをしている人がいないか常に目を光らせています。
そんな状態は誰にとってもストレスで、そろそろ爆発しそうな雰囲気を感じてか政府は4月3日の金曜日に、このようなメッセージを発信しました。
「週末はいいお天気になるけど、でも絶対に出かけないで!」
このメッセージの中には、こんなフレーズがありました。
Please stick with the guidance now.(今、どうかガイタンスを遵守してください)
“stick”という動詞は「くっつく」という意味があるので、「ガイダンスにくっつく」ってどういうこと?と思いましたが、つまりこういう意味でした。
stick with=ひとつのことを続ける
「くっついて、続けていく」というイメージでしょうか。この政府のメッセージの場合は、「ガイダンスに従う」という意味合いになります。もちろんこの「ガイダンス」というのは、外出制限のことです。
実はこの“stick with”は日常生活でもかなり使える言葉です。“stick with it”というイディオムにすると「困難でも続けていく」という意味合いになり、人を鼓舞したい時にこんな風に使えるのです。
「もう、資格の勉強やめようと思っているんだ。どうせ受からないし」なんて言っている人がいたら。
Don’t give up! Stick with it!(あきらめないで! 続けなよ!)
ピアニストになりたいと言っている若者には。
Practice everyday! Stick with it!(毎日練習しろよ! 粘り強くがんばれよ!)
「諦めないで!」と頭の中では、常に真矢みきさんの声で再生されています。制限だらけの生活に心が折れそうになることもありますが、今はまさに「諦めないで自粛を続けていく」時期なのだと思って、イギリス在住民は粛々とガイダンスに従い続けています。
「私、太っちゃってさ?」に対する正しい返答を英語で考えてみた
ロックダウン中の楽しみといえばもう、正直食べることだけです。1日中部屋にいるのに3食しっかり食べるうえ、つい手持ち無沙汰で、おやつにまで手を出しています。もしこの騒動から生き残れたとして、いつか街が通常の状態に戻った時、すっかり太ってしまって誰かわかってもらえない、なんてこともあるかもしれません。でもきっと、世界中同じ状況でしょうから、おそらくロックダウン明けは多くの人がこう言うでしょう。
「私、太ってない?」
これに対するリアクションは、国籍・性別・時代問わず誰もが迷うところかと思います。相手を傷つけず、それでいてなるべく嘘もつきたくない。実は今から、そのリアクションを考え始めています。
まず、無難に逃げるにはコレ。
“I don’t think so”(そうは思わないけど)
「太っちゃったの」と言われて「そうだね」とは、余程のことでない限り言いづらいので、とりあえずは「え~そうなの?」「そうは思わないけど」で乗り切るのが無難かもしれません。
共感してみるならコレ。
“me as well”(私もです)
相手が同性なら「私もたくさん食べちゃって」などと言って共感を示しつつ自分の話にスライドし、相手が太ったかそうでないかのジャッジを下すことを避けます。
多分コレが最強。
You look great just as you are(そのままであなたは素敵だよ)
「太ったか太ってないかなんて関係なく、あなたであれば素敵」なんて、言われて悪い気はしないでしょう。体型にコンプレックスがある時こそ「自分を認めてもらう」と、ダイエットに効果がある、なんて説を研究している大学もあるそうですから、女性に「太っちゃって」と言われたら男性はこう言ったらいいんじゃないかなと、部屋の中に閉じこめられた状態で妄想しています。
MOMOKO YASUI
ロンドン在住編集・ライター。1983年生まれ。男性ライフスタイル誌、美術誌、映画誌で計13年の編集職を経て2018年渡英。英語のプレスリリースを読むのに膨大な時間がかかって現在、仕事が非効率。