世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子による、【連載 吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】201回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。【過去の連載記事】
【ゴルフスイングは左足の動きがカギを握る】
右利き、左利きなど人には利き手があるが、足にも利き足がある。サッカーボールを蹴るときの足、走り出すときの一歩目など、正確で素早い動きをするときに利き足を使うことが多い。ゴルフスイングにおいても、利き足がどちらかということは重要なポイントだ。
たとえば、右利きの人が右打ちする場合、器用な右手の動きをいかに抑えるかが再現性の高いスイングをするために大切だが、足においては左足をいかに適切に動かすかが重要となる。ちなみに、利き手と利き足はどちらも同じというわけではなく、利き手が右で利き足が左という人も少なくない。
右打ちスイングの場合、左足はダウンスイングで行う「踏み込む動作」において大きな役割を担う。その動きによって、ダウンスイングの動きの順番「運動連鎖」が適切になり、地面反力を使ってスイングを加速することができる。左足が利き足の人は、左足で切り返し動作を行うことは問題ないだろう。しかし、利き足が右足の場合、左足をスムーズに動かすことができず、上半身に頼ったスイングになる可能性がある。
思い通りに動かない体を再教育することの重要性を説いているのが、ゴルフスイングの研究で最近注目を集めているマーク・ブル博士だ。
ブル博士はバーミンガム大学でスポーツ科学や運動リハビリテーション科学の博士号を取得した後、生体力学と運動学に基づいたスイング分析などの研究に取り組んでいる。現在はジャスティン・ローズやダニー・ウィレット、フランチェスコ・モリナリをはじめ、20人以上のPGAツアー選手にデータを提供したり、指導したりしており、選手からの信頼も厚い。
【切り返す左足の動きを再教育する】
左利きの人が練習すれば、右手で鉛筆や箸が持てるようになるように、左足もトレーニングすれば思い通りに動かせるようになる。今回はブル博士の生体力学と運動学の理論をもとにした、左足を効率的に動かせるようになるためのドリルを2つ紹介しよう。いずれのドリルとも、クラブを持たず、実際のスイング動作よりも大きな動きを行うことで体に動作をインプットして再教育することを目的としている。
1つ目のドリルは、左足1本で立ち、片足スクワットのように腰を落として沈み込む動きを行う。最初は左足だけで立つのは難しいので、右足は後ろに引き、つま先立ちにしてほとんど体重をかけないようにする。
このドリルの目的は、ダウンスイングで左足を踏み込む動きを体にインプットすることだ。左足に体重をかけるだけではなく、重心を下げてグッと沈み込むようにする。その動きによって、地面からの反力も強くなりスイングスピードを高めることができる。
このドリルを行うときのポイントは、左ひざが前に出ないようにすることだ。膝を前に出ないようにして、おしりを後ろに突き出すようにして腰を落とす。骨盤を前傾させ、左足だけでスクワットをするイメージを持つといいだろう。
2つ目のドリルは、1つ目のドリルで行った左足の上下の踏み込み動作に、横への移動を加えて行う。両足をそろえて立った状態から、左足を目標方向に一歩踏み込んで腰を落とす。さきほどのドリルと同じように、膝が前に出ないよう、おしりを後ろに突き出すようにして腰を落とす。ダウンスイングで体重を移動しながら素早く重心を下げることで、ダウンスイングで大きな左下方向の地面に力を加えることができる。
この動きに慣れてきたら、上半身も連動させながら行ってみてほしい。右手をトップの位置にあげた状態から、左足を踏み込んでみよう。左足の動きにつられて、右手が連動して下りてくることが分かるはずだ。ダウンスイングの左足の踏み込みに合わせて、右手が下りる動きを連動させることで、下半身主導のスムーズなダウンスイングを行うことができる。この動作は、右手だけではなく同様に左手でも行ってみてほしい。自分で手や腕を振り下ろすのではなく、下半身の動きによって自然と手が下りてくるイメージをしっかりと身につけることが大切だ。
体の左サイドの動きを正しく身に付けることは、効率的なスイングに欠かせない。練習ドリルを繰り返し行って効率的なダウンスイングを身につけてほしい。
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