GOLF

2021.09.24

【ゴルフレッスン】飛距離を伸ばすリリースのタイミングとは

世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム160回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、ゴルフのスコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。今回はゴルファーにとって重要なリリースのタイミングについて。

リリースのタイミングが悪いとミスショットに

ゴルフクラブでボールを打つ瞬間というのは、ボールよりもグリップの手が少し前に出ているのが正しく、これを「ハンドファースト」と言うが、アマチュアゴルファーの中にはハンドファーストにしようとするあまり、ボールを打った後までフォロースルーで無理に手首の角度をキープしたり、目標方向に手を出そうとする人がいる。

このように手元が目標方向に出てしまっていると、フェースが開いてスライスやシャンクになる可能性がある。また、振り遅れたクラブを急激に戻すことでボールを引っかけてしまうこともある。ゴルフスイングでハンドファーストは意図的に形を作るものではなく、スイングの中に手首の角度がほどけ、インパクト後はクラブヘッドが手を追い越していくものなのだ。

このクラブヘッドを走らせるために必要になるのが、トップでできた手首の角度をダウンスイングで開放する「リリース」という動作になる。このリリースが適切なタイミングで行われないと、早くリリースしてしまう「アーリーリリース」になったり、逆に前出のようにいつまでもハンドファーストになってしまい、ダフりやトップなどミスショットの原因となる。

また、グリッププレッシャーが強かったり、インパクトで力をこめようと必要以上に力を入れている人は、スイング時にリリースができずヘッドの遠心力を生かせずに飛距離をロスしてしまう。このように、ゴルフスイングにとってリリースは飛距離や方向性に大きな影響を与えるが、ゴルフの場合はクラブを投げるわけではないため、クラブをリリースする動作やタイミングを習得するのが難しい。

ボールを投げるように手首を使う

リリースという言葉は、物体を投げるスポーツでよく使われる。野球やバスケットボールなどの球技のほか、やり投げやハンマー投げといった陸上競技が思い浮かぶが、要するにボールや道具から手を離す時のことを指す。多くの球技の場合、リリースの際に甲側に折れた手首の角度が解放され、手のひら側に折れる動作となる。競技によって意味合いが異なる部分もあるが、リリースで大切なのは手首の角度とボールや道具から手を離すタイミングだ。リリースの際の手首の角度やタイミングが正しくなければボールをコントロールできないし、力強く遠くへ投げることができない。

ゴルフはクラブを放り投げるわけではないのでわかりづらいが、他の競技においては手からボールが離れるリリースに当たるのが、インパクトの瞬間だ。そのため、アンダースローでボールを投げる感覚に近いといえる。実際のゴルフレッスンでも、スイング中にグリップに力をこめ続けてしまう人や、インパクトに力を入れてしまう人には、手首の使い方や手を離すタイミングがイメージするためにアンダースローでゴルフボールを投げてもらう練習をすることがある。この練習をすることで、インパクトで適切なタイミングでリリースするためには、インパクト前にリリースをする意識が必要だということがわかる。インパクトの瞬間に急にボールを離そうとしても間に合わず、左方向にゴルフボールを投げてしまうことになるので、まっすぐゴルフボールを投げるには、右腰あたりからリリースする意識をもってインパクトに向かうことが必要となる。

リリースの手首の使い方やタイミングを身に付けるには、右手1本でのドライバーの素振りがおすすめだ。インパクトの瞬間にグリップから手を離れるようなイメージでヘッドが走る感覚を出しながら素振りをしてほしい。フォロースルーのときに、そのまま手を放せばクラブがヘッドから目標方向に真っ直ぐ飛んでいくような感じになれば、気持ちよくヘッドが走っていく。実際に周りに人がおらず、十分なスペースがある場合はゴルフクラブを投げてみてもいいだろう。ほとんどの人はリリースのタイミングが遅く、かなり左にクラブが飛んでしまうため、最初は右斜め45度くらいにゴルフクラブを投げるイメージでちょうどいいだろう。

リリースの際に気をつけてもらいたいのは、右手のグリップによってリリースのタイミングが異なることだ。グリップにはウイーク・スクエア・ストロングの3種類あるが、右手を下から持つような形になるのがストロンググリップ、上から押さえるように手のひらが下を向くのがウィークグリップ、その中間で手のひらが目標方向を向くのがスクエアグリップになる。

ウィークグリップはリリースを早めに始める必要があり、ダウンスイングで左腕が地面と平行になったあたりから始める。逆にストロンググリップは、ほとんどリリースをしないイメージ、もしくはインパクト近くでリリースを始めるといい。スクエアグリップはダウンスイングでクラブが地面と平行になるあたりからリリースするといいだろう。

人によって、グリップの形が違うので、何度も練習して自分なりのリリースポイントを見つけてほしい。適切なリリースのタイミングを意識して身に付けることで、ミスショットも減るはずだ。力強いボールを飛ばすことができるようになるだろう。

 

 
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TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=小林 司

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

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