世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム188回目。今回は米国ゴルフダイジェスト誌の全米トップ50インストラクターに選ばれ、ジョージア州No.1コーチのアンドリュー・ライスのレッスンからゴルフ上達のヒントを得ていただきたいと思っています。ライスの特別レッスンを掲載している『欧米流スイングで90切り』(吉田洋一郎著)から、一部抜粋し再構成したレッスン記事とインストラクション動画をご紹介します。
「スイング・スキル・ショット」練習法で本番に強くなる
こんにちは、アンドリュー・ライスです。今回はコースで実力を発揮するための練習方法をご紹介したいと思います。
長年レッスンをしていて、生徒さんからよく相談されるのが「練習場では上手に打てるのに、本番だとミスばかり」という悩みです。このような悩みを持っている人は多いですが、なぜ本番のラウンドでミスしてしまうのでしょうか? それは、アマチュアゴルファーの多くが練習でいつも同じ球筋のボールを打とうとしているからです。
私はゴルファーが、練習場でバケツ一杯に入れたボールをひたすら打っている光景をよく目にします。そのような量を重視した練習を行うと、少しは調子が良くなるかもしれませんが、ゴルフコースでは練習の時とはまったく違う球が出てしまうということが起きます。このような状況になってしまうのは、コースで起きることを想定して練習していないことが原因です。本番のコースでは、バンカーもあれば林もあり、ドッグレッグホールもあり、状況に応じて球筋の高低や、ドローやフェードなど様々なボールを打つことが求められます。
私は普段の練習やウォームアップセッションで「スイングに関する練習」「スキルに関する練習」「ターゲットにショットを打つ練習」の3つを組み込んで練習することを推奨しています。この3要素をミックスした「スイング・スキル・ショット」練習法を行うことによって、本番で力を発揮できるようになります。
この練習するときは「スイングモード」「スキルモード」「ショットモード」の3つを設定し、異なる内容の練習を行うようにします。
まず、「スイングモード」の練習をする時は、7番アイアンで特定のポジションの動きを改善するためのドリルを行ったり、フィーリングを得るための練習をします。この練習では、ターゲットを気にせず、小さな振り幅でスイングをします。スイングテクニックに集中して取り組み、ボールがどのように飛んでいくかは気にしません。現在の課題や新しいスイング動作を身に付けることに集中して練習をしてください。
2つ目の「スキルモード」ですが、スキルというのは、ボールの高低や、ドロー、フェードといった「ボールを操って様々な球筋を打ち分けることができるかどうか」という技術です。
スキルアップするためには、今までの常識の枠にとらわれずに練習をすることが大事になります。今まで練習したことがないような、片手打ち、目を閉じて打つ、足を揃えて打つ、敢えてトップしたショットを打つ練習など、いろいろな練習を楽しみながら行ってください。いろいろな方法でボールを打つことで、どのような方法でボールをコントローすることができるかが理解できるでしょう。
フィル・ミケルソンやセルヒオ・ガルシアなどは練習で様々なボールを遊びながら打っていたことで、世界のトッププレーヤーになりました。皆さんも、遊び感覚で様々なボールを打つことでスキルが高まり、本番でも様々な状況に対応できるゴルファーになれるでしょう。そして、普段の練習から実戦の様々な状況をイメージして、スライスボールを打ったり、低いボールを打つ練習を組み込んでください。
3つ目の「ショットモード」は、コースをイメージしてターゲットを狙う練習です。その際、ただボールを打つだけではなく、より本番に近い状態で練習するためにプリショットルーティンも行ってください。仮のターゲットを設定し、それに対して本番と同じようにボールを打つようにしましょう。
練習場ではターゲットを定め、それぞれのターゲットに対し、1つのクラブにつき2打ずつ打つようにしましょう。ドライバー、7番アイアン、ピッチングウェッジなど長いクラブから短いクラブまでまんべんなく練習をしてください。
すべての練習において気を付けるべきことですが、ただひたすらボール打つのではなく、ある程度の時間や球数を設定して練習をしましょう。スイングモードで技術的なことを確認し、スキルモードで枠にとらわれず、様々な種類のショットをいろいろな方法で打ち、最後にショットモードで練習場で行ったことをコースで実践するための準備をする。本番で力を発揮するために「スイング・スキル・ショット」に挑戦してみましょう。