今回は、アドレスについて。連載【吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】とは……
【アドレスの見た目を変える背筋の違い】
時代劇などで、剣の達人が構えるだけで相手が恐れおののくというシーンがあるが、ゴルフでもアドレスを見ただけで初級者か上級者かを見分けることができる。熟練者は自信があるから堂々としたアドレスに見えるということもあるだろうが、やはり理に適ったアドレスは美しく見えるものだ。それとは対照的に、初心者はいかにもボールが飛びそうにないアドレスをしている場合が多く、実際にスイングしてもしっかりとボールをとらえることができない。ショットに自信がない人は、スイングを変える前に、アドレスを点検することをお薦めしたい。
アドレスがかっこよく見えるかどうかのポイントは姿勢、特に背筋だ。背筋がピンと伸びているアドレスは見た目がよく、いかにも飛ばしそうに見える。一方、首が前に出て背筋が曲がり、猫背になっていると自信がなさそうに見え、実際のスイングでも力強さが感じられないことが多い。
【深呼吸で胸を大きく開く】
かっこよく見えるアドレスの作り方を紹介する前に、姿勢の違いがスイングに与える影響についてご紹介したい。簡単なテストを行うことで、関節可動域の違いが体感できるので実際に行ってみてほしい。
まず、腕を真っすぐ前に伸ばし「前ならえ」のような状態で、下半身を止めて上半身を左右に回す。この動作を背筋を伸ばした状態と、首を前に出して背中を丸めた猫背の状態の2通りで行ってみてほしい。
このテストを行ってみると、背筋を伸ばしたときのほうが上半身を回せる可動域が大きくなるころがわかるだろう。逆に、猫背だと上半身を回しにくくなり、体が苦しく感じるだろう。実際のスイングでは、体が回らない代わりの動き「代償動作」として、バックスイングで腕や手でクラブを上げたり、ダウンスイングで腕を振ってクラブを振り下ろしてしまう。その結果、アウトサイドインのスイング軌道になり、スライスが出やすくなる。
生体力学に基づいたスイング研究で注目を集めているイギリスのマーク・ブル博士によると、首が前に出た猫背を改善するために、空気をたくさん取り込み、肺や上半身の筋肉を刺激することで姿勢改善に効果があるという。猫背気味になっている人は、大きく深呼吸して、肺を膨らませてみよう。そうすることで、丸まっていた首や背中が伸び、胸を開いた姿勢になりやすくなる。
ゴルフにおいてもアドレスに入る前に、腕を大きく広げ、胸を開いてたくさんの空気を吸い込んでから、背中側から腕を回してクラブを握ってみよう。その状態から骨盤を前傾させてアドレスを作る。この手順でアドレスをするだけで猫背が解消し、機能性が高まるだけではなく、見た目も大きく変わるはずだ。
大きく息を吸うと心も落ち着くので、アドレス前のルーティンとして深呼吸を取り入れてみるといいだろう。姿勢はゴルフの時だけではなく、普段の生活から気を付けてほしい。特にデスクワークが多い人は知らないうちに背中が丸まりがちだ。休憩時間に深呼吸をして姿勢を整えるようにしてほしい。
息を吸うことは誰でもできるちょっとしたことだが、行うことで損をすることはない。大きく胸を開いて、周囲に「飛びそうな雰囲気があるな」と思われるアドレスを手に入れよう。
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連載【吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】とは……
世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子によるゴルフレッスン。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。