元サッカー日本代表として活躍していた波戸康広さんが今一番ハマっているのがゴルフ。団体スポーツとは違う個人スポーツ特有の緊張感と、全ては自分自身の責任という感覚が波戸さんの心を掴んだよう。そんな波戸さんの悩みは飛距離不足。特にドライバーの飛距離は平均230ヤードだが、なんとか250ヤード越えを常に打ちたい。そんな願いをプロゴルファー谷原秀人が叶えてくれる!? 連載「谷原秀人の飛ばし塾」3回目。
手は「高く」じゃなく「遠くへ上げる」
〜飛ばない理由その3 足を使えていない〜
前回は飛ばしに必要なクラブの上げ方を中心とした腕の使い方についてのレッスンだったが、今回はさらに飛距離を伸ばすために必要な動作を習得する。
谷原プロ 波戸さんのインパクトのイメージはかなり変わってきたと思いますが、飛ばすためにはもっとボールを押す必要があります。
波戸さん プロのボールって「グゥーン」ってきれいに伸びていくじゃないですか。あれに憧れるんですが、ボールを押せるようになると打てますかね?
谷原プロ もちろん! 今の波戸さんのスイングだとほぼ押せていない状態。厳密に言えば押す意識はあるけれど、押せていないんです。
波戸さん 原因はどこですか?
谷原プロ 下半身が全く使えていないからです。“押す”と聞くとどうしても手先で押そうとしてしまいがち。でも手の力なんてたかがしれているんです。重いものを押す時に下半身でグッと踏ん張るじゃないですか。インパクトも同じで、下半身で踏ん張りながら押さないとダメなんです。インパクトでボールを押しているのは下半身なんです。試しに練習マットのヘリにヘッドをあてて、押してみてください。それで自分が最も力が入る体勢がインパクトの形です。
波戸さん こんなに下半身で踏ん張るイメージは全く持っていませんでした。プロはインパクトで頭が沈み込むとかいいますが、イメージしていたよりもかなり沈み込んでいいんですね。
これまでの波戸さんはアドレスを含めトップ、インパクト、フォローで頭の位置ができるだけ変わらないように振ろうとしていた。ただ、谷原プロ曰くそれが力感の無いスイングの原因になっていたと話す。
谷原プロ インパクトで沈むこむ動きは飛ばしには必ず必要な動きなんです。飛ばしのプロのドラコン選手なんかは、沈みこむためにトップで一度上に伸び上がる動きを入れるんです。伸び上がってから沈みこむと反動が大きくなりますよね。ドラコン選手は極端な例ですが、イメージとしてはそれくらいの意識が必要なんです。
波戸さん ちゃんとボールに当たらないので、とにかく下半身を安定させて振ろうとしていましたが、それが間違いだったわけですね?
谷原プロ 波戸さんはサッカー選手で下半身が強いはずです。だからもっと下半身を効果的に使うべきです。1回目のレッスンでインパクトイメージを変えてもらいましたが、下半身を使ってボールを強く押そうとすると自然に腰が開いて、右肩が下がるインパクトの形になるはずなんです。頭の位置なんか意識していたら強く押せませんよ。
谷原プロのアドバイスが効いて、波戸さんはインパクトで体が伸び上がらなくなった。これまではインパクトで上体が起き上がってしまうことで薄い当たりになっていたが、インパクト音が変化して弾道も明らかに強くなった。この時点で20ヤードほどアップを達成していた。
次回は足を使うことの有効性をさらに谷原プロに掘り下げてもらう!
谷原秀人
たにはら・ひでと。1978年広島県生まれ。東北福祉大出身。日本ツアーでは通算14勝を挙げており、2016年の日本プロゴルフ選手権でメジャー制覇を果たしている。2018年、19年は欧州ツアーを主戦場として戦い、今まで以上のタフな精神力を身につけ帰国。2020年からは再び日本ツアーを中心に戦う予定。YouTubeチャンネル「HIDE TUBE」も開設中!
波戸康広
はと・やすひろ。1976年兵庫県生まれ。元サッカーの日本代表選手で現在は横浜F ・マリノスでアンバサダーを務める。ゴルフ歴は9年。平均スコアは90くらいとのことだが、飛距離が出ないことが長年の悩みで、今回は谷原秀人プロの指導のもと、30ヤードアップを目指す。現在のドライバーの平均飛距離は230ヤード。