GOLF

2020.06.26

久々のゴルフラウンドで脱スライス! 見直すべきグリップ2点

世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム101回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。

吉田洋一郎

グリップを見直してスライスを軽減

アマチュアゴルファーの悩みで最も多いのは、やはりティーショットでのスライスだろう。まっすぐ飛び出したボールがやや右に曲がるくらいなら、フェードボールを持ち球としてコース攻略に使えるが、左や右に飛び出したボールがどんどん右に曲がっていくスライスでは手に負えない。こすったスライスではフェアウェイ真ん中にボールが飛んでも距離は出ていないし、セカンドショットはたいていラフからになる。曲がりが強すぎると、下手をするとOBになってしまう。これではストレスがたまるばかりで、ちっともゴルフが面白くない。

アドレスの姿勢やクラブの軌道、フェースの向きなど、スライスにはさまざまな要因があるが、グリップに原因がある場合もある。グリップを見直すだけでスライスが軽減される方法をご紹介しよう。

手のひらではなく、指で握る

スライスがどうしても治らない、ラウンド中になるとスライスの曲がりが強くなるという人は、グリップを強く握りすぎてしまう傾向がある。グリップを強く握ることで、クラブヘッドが走らず飛距離が出なくなるだけではなく、手に力が入ることで上半身に頼ったスイングになってしまう。その結果、切り返しやインパクトで手や腕でボールを打とうとしてしまい、スイング軌道がアウトサイドイン軌道になってスライスの度合いが強くなる。

グリップを強く握ってしまう原因は単純に力が入ってしまったり、ボールに当たるか不安でグリップを強く握りしめているということもあるが、握り方に問題があるケースもある。特にキャリアの浅いゴルファーにあることだが、グリップをパッティングのようにパーム(手のひら)で握ることで、余計な力が入ってしまうことがある。適切ではないパームグリップで握ると、手の中でグリップが動いて安定しないため、しっかりと握ろうとして手に力が入り過ぎてしまうことがある。また、パームグリップは手首の自由度が少ないため、ヘッドが走りにくくなるため、速く振ろうとして力が入ることもある。

このような人は、指の関節部分を使って握るフィンガーグリップでクラブを握ってみてほしい。指で握ることで手とグリップが適切に密着し、余計な力が入りづらくなる。更に、手首の自由が利くためクラブヘッドが走り、クラブの遠心力を使うことができる。遠心力が使えるようになることで、勝手にクラブヘッドが走る感覚がわかり、手に余計な力を入れる必要がないことが理解できるため、より一層力を抜くことができる。クラブを握るときには手さげバッグを持つように、指で握ってからグリップするようにしてみよう。普段の生活でも左手は小指、薬指、中指、右手は薬指と中指でバックを持つようにすると、グリップの感覚を養うトレーニングになるので試してみてほしい。

利き手の使い過ぎを抑える、グリッププレッシャー

そして、もう一つグリップでスライスを軽減させるポイントは利き手の使い方だ。ゴルフはティーショットでもパッティングでも、利き手を過度に使い過ぎることでミスを招くことがある。右利きの場合、右手を普段の生活で使い慣れているため、器用に動いてしまうことでミスが起きてしまう。特に切り返しで右手を使いすぎることで、ダウンスイングでクラブが急角度に下りてアウトサイドイン軌道となりカットスライスになる場合がある。また、インパクトで右手に力を込めてボールをたたくことで、スライスやフックなど様々なミスショットが出てしまう。

右手に力を入れすぎないようにするために、指ごとのグリッププレッシャーに気を付けてみてほしい。グリップを左右10本の指で同じ強さで握るのではなく、指ごとに力を入れる度合いを変えてみるのだ。左手の指の中で、最も力を入れるのが小指。次いで薬指、中指の順だ。人差し指と親指はそれほど力を込めなくてよい。目一杯の力を10とすると、小指の力は6、薬指は5、中指は4,人差し指と親指は2を目安にする。

一方、右手で力を入れるのは、中指と薬指だけ。力の加減も3くらいでよい。他の3本の指はできるだけ力を入れず、添える程度で構わない。特に右の親指と人差し指は意図的に力を入れないようにしてほしい。親指と人差し指はペンを持ったり、箸を持つときなど、普段の生活で使っているため非常に器用だ。この使い慣れた2本の指を無意識に使っているため、右手に力が入ってしまうことになる。もし、あなたのグリップの右手の親指と人指し指部分が削れていたら要注意だ。

右手の使い過ぎを抑えるために、右手の親指と人差し指をグリップから離して握って素振りをしてみよう。クラブ軌道が不安定に感じたり、インパクトで力が入らない感じがすると思うが、それでいいのだ。今まで自分でクラブをコントロールしていた感覚ではなく、遠心力によってクラブに振られる感覚を身につけることが大事になる。今までより、力感がなく「こんなに楽でいいのだろうか」「飛ばないのではないだろうか」と不安になるくらいでちょうどいい。慣れてきたら実際にボールを打ってもよい。クラブヘッドの動きにつられて勝手にクラブ軌道が作られるようになれば、アウトサイドイン軌道は解消され、スライスも軽減されるだろう。

適切なグリップをすれば、スイング中にクラブのヘッドの重さを感じることができる。逆にヘッドの重さを感じなければ、クラブを強く握りすぎているということになる。利き手の力を抜き、「クラブの重さに任せる」という感覚をつかむことができれば、スライスは軽減されるだろう。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=小林 司

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

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