世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム65回目。顧客の多くが国内外のエグゼクティブ、有名企業の経営者という吉田コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
50%の確率で入る距離を知る
90を切り80台が出るようになると、スコアが安定し戦略的にもなるので、よりラウンドが楽しいものになる。100を切ったプレーヤーが90を切るには、技術的なレベルアップは特に必要はない。ただし考え方をシャープにしておく必要がある。今回は80台を出すために、パッティングで実践してほしい考え方の話だ。
80台を出すためには、平均パット数を「2以内」に収めたい。毎ホール2パット、あわよくば1パットというペースだ。そこでもっとも重要なのは3パットを避けることである。そのためには「狙う距離」と「寄せる距離」を明確にしておかなければならない。
「自分がカップインを狙える距離」は、50%の確率でカップインをする距離だ。それを知るには、カップから30cmの位置にボールを置き、10球打つ。5球入ればその距離はクリアで、そこから10cmカップから遠ざかりまた10球打つ。まずはこうして50%カップインできる「狙う距離」の把握をしてほしい。今まで5mの距離をカップインのチャンスだと思っていた人は自分のカップインの確率を知って考えを改めるかもしれない。
狙うパッティングと寄せるパッティングの違い
狙うパッティングでは、ボールがカップのだいたい30cm先に止まるように打つ。カップでピッタリ止まるようジャストタッチで打つと、手前の芝目や傾斜の影響を受けやすくなり、ラインが複雑になるためだ。もちろんカップに届かなくなるというリスクもある。
30cmというとかなりしっかり打つ印象を持つかもしれない。この距離はショートゲーム専門のコーチ、デーブ・ペルツが導き出したものだ。1万球以上ものパッティングデータを分析したところ「カップの先、43cmがもっとも入る確率が高い」という結果になった。この距離を測ったように打つのは難しいと思うので、だいたい30cm先に止めると覚えておけばよい。狙うパッティングでは左右の曲がりと距離感の両方を合わせる必要がある。まず距離感を合わせることができなければ曲がり幅を決めることができない。曲がり幅を気にする前にカップを30センチオーバーするボールのスピードをイメージするといいだろう。
一方、寄せるパッティングは、カップの周り1m以内止めることを目指す。欲を言えば、返しのパッティングでラインを把握できるのでカップの先に止まったほうがいいが、手前でも〇だ。これまでいろいろイメージを膨らませたが、カップが半径1mの巨大な穴になったと思うのがもっともいい。長い距離を打つ場合、体やクラブの動く範囲が増えるので、固定する必要のある頭や下半身が動きやすくなる。これは打点がずれることにつながり、結果、タッチがそろわなくなるので、体が必要以上に動きすぎないようにしっかりと意識したい。
また普段打ち慣れない距離なので、テークバックを大きく上げることの恐怖が出やすい。大きくクラブを引いたはいいが、インパクトでゆるんでしまい距離が出ないというアマチュアは多い。長い距離であっても一定のリズムを意識して、等速で振るようにしよう。
「狙う距離」と「寄せる距離」を明確に分けるルールを設ければ、3パットは減りコンスタントに80台を出すことができるようになるだろう。