世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム39回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
2m以上はラインを読まないほうがいい
アマチュアはグリーンに乗ったら、すべてのパッティングでカップインを狙っている。「狙わなければ入らない」と言われてしまえばそれまでだが、カップインの確率が低い長い距離のパットを狙いにいって3パットするのは得策とは言えない。
そもそもシングルレベルのプレーヤーでも2mのカップインの確率は50%以下だろう。90前後のスコアのゴルファーなら約35%、すなわち3回に1回程度の成功確率だ。だから誤解を恐れずに言えば、多くのアマチュアは2m以上のパットが入る確率は非常に低く、ほとんど入らないと言ってもいい。
狙っても入らない距離は寄せることに重点を置かなくてはならない。同じパッティングでも「狙う」と「寄せる」ストロークは重視することが異なる。パッティングのレベルにもよるが、練習量の少ないアマチュアなら2m以上であればタッチに集中して寄せることを優先すべきだ。狙いに行って3パットするよりOKの距離に寄せて静かな気持ちでホールアウトしたほうがメンタル的に良いし、もしカップインすれば得をした気分にもなれる。
狙うパッティングはラインに乗せることが重要になる。左右にほんの少しずれてしまうだけでカップを外れる。ボールスピードをイメージしながら曲がり幅を緻密にチェックし、そのラインに乗せなくてはならない。傾斜やスピードなどの外部要因をすべて計算しつくしたうえで、正確で再現性の高いストロークが要求されるのが狙うパッティングだ。
一方、寄せるパッティングはタッチが重要だ。距離にもよるが、1クラブ以内つまりカップから半径1m以内に寄れば成功。つまり直径2mの仮想カップに入れればよい。こう考えるとなんとなくできそうなイメージがわいてくるだろう。
想像してみてほしい。この大きなカップに入れるときに、入念にラインをチェックする必要はあるだろうか。たいていの人はざっくりどちらに曲がるかだけを分かっていれば、なんとなく入る気がしたはずだ。だからこの状況で必要なのはタッチを間違えないことだ。
前後の傾斜を読む
だから2m以上距離が残った場合は、上りなのか下りなのかカップまでの前後の傾斜をチェックしてほしい。そうしてある程度の傾斜がわかったら、転がるスピードを頭の中でイメージする。重要なのは左右にどの程度切れるかではなく、転がりのスピードがどのように減速しどこに止まるかだ。このイメージがつかめていれば、大きく縦の距離を誤ることはない。
このように縦の距離の重要性を説明しても「横のラインだって読めばいいじゃないか」と、かたくなにラインを読もうとする人がいる。もちろん同時にできることに越したことはないが、ストローク前の時間は限られているし、ルーティンからインパクトまでに処理できる情報量は限られる。ラウンド回数の少ないアマチュアなら尚更だ。結局ストロークまでに優先すべきことを処理しきれず、目的が不明確なまま打ってしまうので結果は運次第のような形になってしまう。
だから2m以上の寄せるパッティングでは、前後の傾斜のみのチェックに終始しよう。
転がるスピードをイメージするためには、練習グリーンでパッティング練習をする前に手でボールを転がしてみよう。ストロークだと体の動きへの意識が強くなってしまうが、手で転がすことでボールの転がるスピードに集中することができる。平らな傾斜だけではなく、上り下りでどのように減速してどこに止まるのかを確認してみるといいだろう。これを毎回ラウンドの前に行えば「ノー勘」のパッティングは確実に減るはずだ。